2025-01-24 コメント投稿する ▼
厚生年金加入要件の見直し案:パート・短時間労働者の加入拡大
■賃金要件の撤廃
現在、年収106万円以上のパートタイマーが厚生年金に加入できる「106万円の壁」が存在します。この賃金要件を、法律公布から3年以内に撤廃する方針です。
■企業規模要件の段階的緩和と撤廃
厚生年金加入の企業規模要件は、従業員数51人以上の企業に限定されています。これを段階的に緩和し、2027年10月から従業員21人以上の企業に適用し、2029年10月には完全に撤廃する案が示されています。
■個人事業所への適用拡大
現在、5人以上の従業員を有する個人事業所が対象となっています。これを2029年10月から、すべての業種で段階的に加入できるようにする方針です。
■在職老齢年金制度の見直し
65歳以上の在職老齢年金制度について、減額される基準を現在の月額50万円から62万円に引き上げるなどの見直しが検討されています。
■企業負担への配慮
企業や事業所の負担増加を懸念する声もあります。現場の意見を踏まえ、負担軽減策や適切な実施時期の検討が求められています。
厚生年金加入要件の見直し案の懸念点
■企業の負担増加
厚生年金の加入対象者を拡大することにより、企業の負担が増加することが懸念されています。特に中小企業にとっては、従業員数に関わらず厚生年金の加入義務を負うことになり、人件費が増加する可能性があります。その結果、企業が労働者の雇用形態を見直したり、非正規雇用を減らすことに繋がる懸念もあります。
■賃金要件撤廃が生む不公平感
年収106万円の壁の撤廃案は、賃金が低い労働者にとってはありがたいですが、同時に高収入者に対して不公平感を生む可能性があります。例えば、106万円未満で働く多くの人々が加入対象となる一方で、厚生年金を多く負担する企業の負担が大きくなるため、経営側の負担感が強まることもあります。
■企業規模要件の段階的緩和による影響
企業規模要件が緩和されると、従業員数が20人以下の小規模企業にとっては、年金の加入を求められることになります。このような企業では、規模が小さいため福利厚生を提供する余裕がない場合も多く、加入義務に対して対応が難しくなる可能性があります。また、これにより中小企業がますます経営難に直面する恐れもあります。
■在職老齢年金制度の見直しによる影響
「在職老齢年金」の基準が引き上げられることは、年金を受け取っている高齢者にとっては有利に働く可能性が高いですが、逆に、65歳以上の高齢者が働くことを促す一方で、若年層の雇用機会が減少する可能性も指摘されています。また、高齢者の年金受給額が増えることで、将来の年金財政に対する負担が増大する恐れもあります。