2025-04-25 コメント投稿する ▼
山添政策委員長「国の関税対応策は不十分」 国内雇用と産業基盤の守りを訴え
政府の緊急対応策は「当然」も、抜本的対策不足
日本共産党の山添拓政策委員長は25日、国会内で記者会見を開き、同日政府が決定したトランプ米大統領による関税措置への緊急対応策について、「資金繰り支援や雇用調整助成金の手続き迅速化といった措置自体は当然必要だが、今後の影響拡大を見越した対策としては極めて不十分だ」と厳しく批判した。
政府は、対米輸出に打撃を受ける産業向けに相談窓口の設置、雇用維持支援、金融支援を含む対策パッケージを打ち出した。しかし、山添氏は「表面的な対応にとどまっており、産業構造への深刻な影響への備えが見られない」と指摘した。
自動車大手の動きに懸念 国内下請けや雇用に影響も
山添氏は、自動車産業をはじめとした大企業が、関税コストを回避するため生産拠点を米国に移転・強化する動きを見せていることに触れ、「日本国内でコストカットが進めば、下請け企業への買いたたきや、雇用削減といった重大な悪影響が生じかねない」と警鐘を鳴らした。
とくに、電装品や部品メーカーなど中小の下請け企業が圧迫されるリスクを挙げ、「政府は単なる資金繰り支援にとどまらず、国内雇用と産業基盤を守るための実効ある介入を行うべきだ」と強調した。
リーマン・ショックの教訓 「初動の遅れ繰り返すな」
山添氏は、2008年のリーマン・ショック当時を引き合いに出し、「当初は『国内経済への影響は限定的』と楽観視され、対策が後手に回った結果、派遣切りや大量の雇用喪失が社会問題化した」と指摘。「今回も同じ轍を踏んではならない」と訴えた。
また、リーマン・ショック後には製造業を中心に、非正規労働者が大量に解雇され、雇用の不安定化が深刻な社会問題となった。山添氏は「大企業は内部留保を積み上げているにもかかわらず、安易なコスト削減を行えば社会全体への打撃は免れない」と述べ、政府に対し「企業に対して国内雇用維持を義務づける措置や、内部留保活用を促す実効性ある対策」を求めた。
産業空洞化防止へ中長期的視点を求める
さらに山添氏は、日本の産業空洞化のリスクについても言及。「生産拠点が海外に流出すれば、短期的な関税回避にはなっても、国内経済の弱体化を招く。中長期的に日本全体の雇用と所得が失われる危険性がある」と警告した。
今回の米国の関税措置は、中国との対立を背景にしており、日本にも波及的な影響が避けられないとされる。特に自動車、機械、化学などの輸出産業は影響を受けやすい。山添氏は「こうしたグローバルリスクに対応するには、目先の資金繰り対策だけでなく、産業構造の強化策や国内市場の需要拡大も並行して進めるべきだ」と提言した。
- 政府の緊急対応策(資金繰り支援・雇用助成迅速化)を「不十分」と批判
- 自動車大手の米国拠点強化により、国内下請けや雇用に悪影響の懸念
- リーマン・ショック時の初動の遅れを繰り返すべきでないと強調
- 産業空洞化防止のため、内部留保活用促進や中長期的産業対策を要求