2025-04-08 コメント投稿する ▼
「トランプ関税は明白なWTO違反」――山添拓議員、政府に撤回要求と公正な貿易ルール構築を促す
WTOの基本原則の一つに「最恵国待遇」がある。これは加盟国が特定の国だけに有利な関税率を適用することを禁じるもので、例外を除き、一方的な関税の引き上げは認められていない。
山添氏は、「過去、日本がWTO協定違反を理由に紛争解決手続きを申し立てた事例は複数ある。たとえば2021年には中国、2019年にはインド、2000年には米国が対象だった」と指摘。これに対し、外務省の小林賢一審議官も事実関係を認めた。
そのうえで山添氏は「トランプ関税は、それらのケースと比べて対象国も広く、影響もはるかに大きい。明らかに協定違反だ」と強調した。
貿易赤字の論理に反論「米国自身の問題だ」
トランプ氏は、対日貿易赤字を理由に日本製品への関税を引き上げたが、山添氏はそのロジックにも疑問を呈した。
「GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)といった米国の巨大IT企業は、日本国内でも巨額の利益を上げている。だが、それらの収益は米国本社に集約されており、日米間の『貿易収支』には反映されない」と指摘。つまり、数字上の赤字に目を奪われて関税をかけるのは筋違いだというのだ。
さらに山添氏は「米国は新自由主義を世界に押しつけ、自らは多国籍企業に依存してきた。その結果、国内では格差と貧困が拡大した。貿易赤字はそのツケであり、他国に転嫁するのはお門違いだ」と厳しく批判した。
日本政府の対応に疑問「日本さえよければ?」
現在、日本政府も米国に対し一定の再考を求めてはいる。石破茂首相は、「日本への巨額投資を踏まえ、同様の措置は妥当ではない」との考えを示している。
だが、山添氏は「それはあくまで『日本にだけは特別扱いしてほしい』という話ではないか。他国の立場をどう考えるのか」と、日本政府の姿勢を問いただした。
岩屋毅外相は「関税戦争に勝者はいない。国際経済は相互に依存しており、一国だけが繁栄することはありえない」と応じた。
自由貿易体制の限界新たなルール構築を
山添氏は最後に、「これまでの自由貿易ルールは、大国の都合でねじ曲げられ、経済主権や食料主権までもが脅かされている。もはや限界だ」と述べ、「日本が先頭に立って、公正で持続可能な新しい貿易ルールを築くべきだ」と訴えた。
影響を受ける日本企業も
トランプ関税の影響は既に日本企業にも及んでいる。例えば光学レンズメーカーのタムロンは、米国市場向けの製品をベトナムで製造する新工場の計画を進めていたが、関税措置によって見直しを迫られた。現場レベルでも不透明な貿易政策への不満と不安が広がっている。