2025-08-08 コメント投稿する ▼
文科省、秩父宮ラグビー場の財産処分を認可 神宮外苑再開発で賛否激化
文科省、秩父宮ラグビー場の財産処分を認可
文部科学省は7日、東京・明治神宮外苑再開発計画の一環として進められる秩父宮ラグビー場の建て替えに伴い、同施設の財産処分を認可した。申請を行っていたのは、管理・運営を担う日本スポーツ振興センター(JSC)で、これにより計画は大きく前進する。
再開発計画では、現在の秩父宮ラグビー場を解体し、神宮第二球場跡地に新たなラグビー場を建設。旧ラグビー場の跡地には新神宮球場が建てられる予定だ。これにより、神宮外苑エリアの施設配置が大きく変わることになる。
再開発を巡る賛否と環境懸念
今回の財産処分認可に先立ち、都市計画や環境分野の専門家有志は、阿部俊子文部科学相に対し、認可しないよう求める要望を提出していた。理由として、神宮外苑の再開発が緑地喪失や景観破壊を招く恐れがあること、さらには計画の透明性や市民合意の不十分さが挙げられている。
こうした懸念は以前から指摘されており、神宮外苑が有する文化的・歴史的価値、都市における貴重な緑地空間としての役割を失うことへの危機感は根強い。
「緑を犠牲にした開発は後戻りできない」
「一度失った景観は二度と取り戻せない」
「外苑は都民の財産、短期的利益で壊すべきではない」
「再開発で本当に地域は豊かになるのか」
「歴史ある空間を守るべきだ」
JSCと計画推進の論理
一方、JSCや計画推進側は、老朽化が進む秩父宮ラグビー場の更新は不可避であり、施設の機能向上や利用者の安全性確保が急務だと説明する。新ラグビー場は最新設備を備え、観客収容力や国際大会への対応力を高めるとされる。
また、新神宮球場を含む再開発全体は、周辺インフラの整備や集客力向上によって地域経済の活性化に寄与するとの見方も示されている。
今後の焦点
財産処分認可により、再開発計画は実行段階に入るが、環境影響評価や景観保全策、市民参加の在り方は依然として焦点のままだ。特に、緑地の再生・補填策や計画変更の可能性については、今後の議論次第で再開発の印象を大きく左右するだろう。
市民団体や専門家は「今回の認可が開発推進の免罪符になってはいけない」と警戒を強めており、再開発が単なる施設更新にとどまらず、地域や環境に長期的利益をもたらす形になるかが問われている。