2025-05-17 コメント投稿する ▼
“2025年7月日本大災害”の噂が香港で拡散 鳥取県への影響と冷静な対応の重要性
香港で「2025年7月日本大災害」説が拡散 鳥取県観光への影響も
「2025年7月に日本で大災害が起きる」という話が、香港のSNSやニュースを通じて広がっている。これが香港人観光客の訪日予定、とりわけ鳥取県への旅行計画に影響を及ぼしている。現在、鳥取県の米子鬼太郎空港と香港を結ぶ定期便は週3便運航中だが、県側は「旅行客の動きが鈍ってきた」と感じており、背景にこの“予言”があると見られている。
きっかけは一冊の漫画と風水師の言葉
噂の火種となったのは、かつて話題となった漫画『私が見た未来』。その表紙に記された「2025年7月に本当の大災難がくる」という一文が、香港で注目を集めた。これに加え、現地の有名な風水師が同様の内容を公に語ったことで、“予言”は一層の説得力を帯びたかたちとなった。
実際に香港からの観光客に話を聞いてみると、ほぼ全員がこの話を知っていたという。
「みんなその話をしています。だから私たちも7月よりも早く日本に来ました。」
「僕の友達や家族の中にはその情報を信じている人もいます。」
「僕は信じていません。それ以上に僕は日本が好きだから。」
「半分くらいの人が信じていると思います。少し怖いです。」
「多くの香港人がその情報を信じています。僕は信じていない。」
地震慣れしていない地域の心理
この噂が拡散した背景には、香港の地理的特徴も関係している。地震の経験がほとんどない香港では、地震に対する恐怖心が強く、「日本=地震多発地帯」という印象が残りやすい。また、日本文化への興味が高い香港人は、ネット上の日本情報にも敏感で、噂話があっという間に拡散されやすい素地がある。そうした中で「漫画×予言×風水師」という要素が結びつき、不安を駆り立ててしまった。
鳥取県、冷静な対応呼びかけ
観光への影響を懸念する鳥取県国際観光課は、「科学的な根拠のない話に過剰に反応せず、冷静な判断を」と呼びかけている。谷本敦課長は「鳥取には夏ならではの楽しみが多くある。海の幸や登山体験など、今しか味わえない魅力を知ってもらいたい」と前向きな観光促進を続ける姿勢を示している。
また、香港在住の日本人もこの騒動を冷静に見つめており、「日本に出張するのをためらう声もあるが、それだけ日本への関心が高いという裏返しでもある」と語った。
SNS時代の観光に必要な“情報リテラシー”
この一連の動きは、インターネット上の情報が人々の行動にどれだけ影響を与えるかを物語っている。観光業にとって重要なのは、正しい情報をわかりやすく発信し、根拠のない噂に左右されないような“安心”を提供することだろう。
鳥取県はこれからも丁寧な情報発信を続け、不安を感じる海外旅行者に寄り添う姿勢を貫く方針だ。訪日観光を左右するのは、科学か予言か——その答えを出すのは、冷静な判断を持つ一人ひとりの旅行者である。