2025-07-29 コメント投稿する ▼
外務省が経済安保とAI外交戦略の新部署を創設 8月から大規模組織改編
外務省が経済安保とAI戦略で新体制へ 8月に組織改編、外交に専門性強化
経済安全保障とAI外交に本腰 外務省が体制一新
政府は7月29日の閣議で、外務省の組織改編に関する政令改正を決定した。8月1日付で、経済安全保障政策と人工知能(AI)をはじめとする先端技術に対応する専門部署を新たに設け、国際社会における日本のプレゼンス強化を図る。
今回の改編は、急速に変化する国際情勢と、経済安全保障・技術競争といった新たな外交課題に的確に対応することを目的としている。あわせて、海外に住む邦人の保護体制についても強化が図られるなど、幅広い分野をカバーする大規模な組織再編となる。
経済局に「経済安全保障課」と「AI戦略課」を新設
これまで総合外交政策局の一部として設置されていた経済安全保障関連の担当室は、今後は経済局の所管に移され、新設される「経済安全保障課」として正式に格上げされる。これにより、経済面からの外交政策と国家安全保障の連携が一層強化される見込みだ。
また、同じく経済局には、人工知能やデジタル技術など急成長中の分野に関する国際政策を担当する「経済外交戦略課」も新設される。グローバルなAI規制やデータ流通、サプライチェーンの安全性といった喫緊の外交課題に対応するため、専門人材の配置と組織の明確化が急務とされていた。
市民の間からも、こうした新部署への期待や現実的な視点が投稿されている。
「AIや経済安保に遅れない体制は絶対に必要」
「省庁がようやく時代に追いついた感じ」
「中国との距離感を保ちながら戦略立ててほしい」
「邦人保護にもちゃんと目が向いていて安心した」
「省内に専門部署がないまま交渉してたことが逆に怖い」
欧州との経済戦略にも新ポスト 「欧州経済戦略官」創設
欧州との経済連携強化を念頭に、外務省は欧州局にも新たなポスト「欧州経済戦略官」(課長級)を設置する。日EU経済連携協定(EPA)をはじめ、エネルギー・脱炭素技術、サイバー空間など多様な分野での経済連携の機会が広がるなか、交渉力と分析力を備えた専門職の役割が重視されている。
このポスト新設は、日本の経済外交がもはやアジア圏中心ではなく、グローバルな構造転換を求められていることの表れでもある。欧州諸国との戦略的関係構築を、経済面から支える狙いだ。
邦人保護の体制強化も同時に進む
国際的な不安定要因が続く中で、日本人の渡航や滞在がリスクにさらされる事例も相次いでいる。こうした背景から、今回の組織改編では「邦人保護」体制の見直しと強化も重要な柱とされている。
テロや感染症、自然災害、地域紛争など、有事の際に迅速な対応ができるよう、情報収集と初動体制の高度化が求められている。外務省は、在外公館との連携を再構築するとともに、危機管理能力を備えた人材配置を進める方針だ。
国家戦略としての外交を担う布陣に
これまで外務省では、経済分野やデジタル技術に関してはやや“後手”との批判もあったが、今回の改編によって「戦略的外交」を実現する体制がようやく整いつつある。外交が安全保障、経済、技術、そして国民生活に直結する時代において、外務省の役割と責任も変わり始めている。
国民の信頼と世界の信頼、どちらも背負って臨む新体制が、実効性を発揮できるかどうか、注視される。