2025-04-27 コメント投稿する ▼
岩屋毅外相、日米経済の早期安定を訴え 関税問題で日系企業と意見交換【トランプ政権の影響に懸念】
トランプ政権下の関税措置、企業に不安広がる
岩屋毅外相は27日(日本時間28日)、訪問先の米ニューヨークで、日系企業関係者と意見交換を行った。話題の中心となったのは、トランプ政権が推進する関税措置に関する懸念だった。岩屋氏によると、日系企業側は関税政策の先行き不透明感に大きな不安を抱いており、特にサプライチェーンや現地生産体制への影響を懸念しているという。
外相は28日(日本時間29日)、記者団に対し「企業側は経済の安定を強く求めている。日米経済関係を早急に安定させることが極めて重要だ」と述べた。さらに、現地企業の要望に応えるべく、関税問題について今後も継続的に米側と協議を重ねる考えを示した。
総じて良好な日米関係、経済分野では陰りも
岩屋外相は、トランプ大統領との関係を含め「日米関係は総じて良好に進んできた」としながらも、「経済分野では影が差しているのは事実だ」と認めた。とりわけ鉄鋼や自動車部品など、日本企業にとって重要な産業分野が関税の影響を受けていることを問題視し、「日米協議を通じて早急にこの局面を乗り越えなければならない」と強調した。
これまで安倍政権下で築かれてきた日米の「蜜月関係」は、経済問題では必ずしも一枚岩ではないことが浮き彫りになった。特にトランプ氏が「米国第一主義」を掲げる中で、日本の対米輸出がターゲットにされるリスクは依然として残っている。
関税回避へ、日系企業の現地戦略にも影響
日系企業の間では、関税リスクに対応するため、米国内での生産比率を高める動きも見られる。しかし一方で、投資判断には慎重にならざるを得ない現実もある。ニューヨークの企業関係者からは「政策が不透明なままでは、新たな投資に踏み切れない」との声も上がった。
岩屋氏は、こうした企業側の不安を真摯に受け止め、政府として情報収集と状況分析を強化し、必要に応じて外交ルートを通じた働きかけを行う方針を示した。また、WTO(世界貿易機関)ルールの順守を求める国際協調の重要性についても米側に訴えていく考えを表明している。
今後の展望 日米経済協議の再活性化へ
岩屋外相は、今回の訪米を機に日米間の経済対話を一層活性化させる必要性を訴えた。とりわけ、通商問題については閣僚レベルでの協議を頻繁に行い、早期の不確実性解消を目指す意向だ。
現在、日米間では「TAG(物品貿易協定)」に基づく交渉が続いているが、今後の動向次第では、農産品や自動車を含む幅広い分野で新たな合意形成が求められる可能性もある。岩屋氏は「互恵的かつ公正な経済関係の構築を目指す」と語り、関係強化への意欲を改めて示した。
- 岩屋外相がニューヨークで日系企業と関税問題を巡って意見交換
- 日系企業は先行き不透明な関税政策に不安を抱える
- 日米関係は総じて良好だが、経済面では陰りも
- 日系企業の米国内投資判断にも影響、政府は継続的支援を表明
- 日米経済協議の再活性化と国際協調の必要性を強調