2025-06-08 コメント: 1件 ▼
自民・小野寺政調会長「赤字国債での減税はすべきでない」発言に賛否広がる背景とは?
自民・小野寺政調会長が講演 “減税は赤字国債でやるべきでない”と慎重姿勢
自民党の小野寺五典政務調査会長は8日、熊本市で行われた講演で、現在の経済状況や財政運営について持論を展開した。特に注目されたのは「赤字国債を出してまでの減税には反対する」という発言で、政府与党内でも議論が割れている減税政策に対し、慎重な立場を明確にしたことだ。
赤字国債による減税に明確な反対姿勢
小野寺氏は講演で、「長期金利が上がり始めていることは、財政にとって黄色信号だ。そうした状況で、赤字国債を発行して減税を行うのは、絶対にしてはならない」と警鐘を鳴らした。これは、減税を求める声が高まるなかで、政府が補正予算で対応する構想に冷や水を浴びせる形となった。
さらに、物価高の要因として「行き過ぎた円安」を指摘。「いま大切なことは、将来の日本経済の“勝ち筋”となる産業にしっかりと政策支援を行い、同時に財政健全化にも配慮することだ」と述べた。小野寺氏は、防衛費増額や少子化対策など国の構造的支出が拡大している中での無計画な減税に強い懸念を示した格好だ。
一方、こうした財政規律重視の姿勢に対しては、減税による可処分所得の増加を通じて国民生活を直接支援すべきだという声も根強い。特に近年は、給付金や補助金による“点”の支援ではなく、恒久的な“面”の政策、すなわち減税を通じた構造的な支援を求める論調が広がっている。
円安への言及と“勝ち筋産業”への期待
小野寺氏はまた、円安が日本の物価高を招いているとした上で、「為替だけで政策を誤るわけにはいかない。エネルギーや食料の輸入価格が上がっていることは一過性のものであり、日本が本当に注力すべきは、半導体、AI、再エネといった将来性のある産業に投資することだ」と主張した。
これは、政府が掲げるGX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)に歩調を合わせた発言とも受け取れる一方、減税による家計支援を求める世論とは距離があるとも言える。
減税派からは「産業育成と財政健全化を並行して進めるべき」とする意見もあり、小野寺氏の発言が今後の党内議論にどう影響を与えるか注目される。
コメ価格は今後下落の見通し 新米は“落ち着いた価格”へ
講演では経済政策だけでなく、庶民の暮らしに直結する食料価格についても言及があった。小野寺氏は「政府の備蓄米が市場に出回り始めており、今後は銘柄米を中心に価格が下がっていく。8月末から10月にかけて、新米が5キロあたり3000円台で出回るようになるだろう」と説明した。
コメの価格は昨年からの需給バランスの変化、天候要因、輸送コストの上昇などで高騰していたが、政府備蓄の放出により、一定の価格安定が見込まれる。とくに家計の負担が大きくなる夏場に向けての価格下落は、消費者にとって朗報となる。
ネット上の反応は賛否割れる
小野寺氏の講演内容に対して、SNS上では様々な反応が見られた。
「財政の健全化は大事だが、減税は今すぐ必要だ。中小企業や庶民の生活を支えるべき」
「赤字国債は将来世代へのツケ。減税じゃなくて無駄遣いを減らすのが先でしょ」
「物価高に苦しんでるのに、減税はダメっていうのは冷たい」
「産業育成は重要だけど、それだけで今の苦しさは乗り切れない」
「そもそも、なんで増税するのは簡単で、減税には赤字国債って話になるのか意味不明」
国民の間では、目先の負担軽減としての減税に期待する声が根強く、財政規律や構造改革を重視する与党幹部の姿勢とのギャップが浮き彫りになっている。特に中間層や地方の生活者ほど、エネルギー高や物価高によるダメージは深刻であり、単なる将来展望だけでは生活が立ち行かないという現実がある。
今こそ“減税こそ最大の福祉”を再認識すべき時
小野寺氏の発言は、あくまで財政保守的立場からの提言ではあるが、いま求められているのは可処分所得を増やし、国民が主体的に経済を回すための環境づくりだ。補助金や給付金では一時的な対処にしかならず、根本的には恒久減税による購買力強化が求められている。
経済成長を促進し、税収を自然と増やすためにも、いま必要なのは「減税による民間活力の最大化」である。赤字国債を一概に否定するのではなく、未来への投資として減税を位置付ける視点が、今後の政策論争の中で問われていくだろう。