2025-04-13 コメント投稿する ▼
円安是正と米国債問題、迫られる日本の通商戦略 小野寺政調会長『企業強化で乗り切る』
- 円安が家計を直撃しており、是正が急務
- 米国債を「交渉カード」として使う案には否定的
- 米国は為替政策で円高圧力をかける可能性も
- 日銀の金融政策の遅さが批判対象になる恐れ
- 米国債市場では関税ショックで売りが拡大
米国債は「外交カード」にすべきでない
番組では、野党議員から「日本が保有する大量の米国債を二国間交渉の切り札にすべきでは」との意見が出たが、小野寺氏は明確に否定。「日本は米国の同盟国であり、米国債を外交の材料に使うのは筋が違う」と述べ、慎重な姿勢を示した。
財務省の加藤勝信大臣も同様の立場をとっており、「米国債を意図的に売却するのは為替介入と見なされかねず、信頼を損なう」と懸念を示している。
円安が生活を直撃、円高政策への転換求める声
これまで日本は、円高が輸出企業に打撃を与えるとして円高阻止に重点を置いてきた。しかし、日銀が超低金利政策を続ける一方、米FRBが利上げを進めたことで、円は2022年以降急落。1ドル160円台に迫った時期もあった。
円安による輸入品価格の上昇が生活コストを押し上げ、企業も人件費や原材料費の高騰に苦しんでいる。小野寺氏は「円安は物価上昇の一因だ。根本的には日本経済の体力をつけていくしかない」と強調した。
貿易交渉の焦点は為替政策
今週行われる日米の貿易交渉では、為替政策が主要議題の一つになる見通しだ。日本政府内では、米国が円安阻止を強く求めてくるのではないかとの警戒感がある。特に、日銀が金利を引き上げるペースが遅すぎると米側が不満を表明する可能性もある。
通商交渉の担当である赤沢亮正経済再生担当相は、今週木曜日に米財務長官スコット・ベッセント氏と会談を予定しており、注目が集まっている。
米国債市場の動揺と日本の立ち位置
一方、米国ではトランプ大統領の高関税政策によって、市場が大きく揺れている。株式、債券、為替、原油などが激しく値動きし、特に「安全資産」とされる米国債の価格変動が目立つ。一部報道では、中国が保有米国債を売却しているのではないかとの観測も出ている。
米国債の大量売却は、トランプ政権が「相互関税」の方針を一時凍結する背景となったとの見方もある。実際、日本が1月時点で保有している米国債は約1兆790億ドルで、中国の約7608億ドルを大きく上回る。
円安是正と対米関係の維持という相反する課題に、政府・与党は難しい舵取りを迫られている。米国との交渉では、日本のスタンスが国際市場の動向にどこまで影響を与えるかも問われる。経済再生と国民生活の安定、その両立をどう図るかが、今後の焦点となりそうだ。