2025-07-20 コメント投稿する ▼
自民・森山幹事長「責任感じている」も続投へ 消費税死守の主張に広がる違和感と党内反発
自民・森山幹事長「消費税を守る」も続投に批判 異様な選挙戦に揺れた幹部の姿勢
2025年7月20日に投開票が行われた参議院選挙で、自民党は改選議席を大きく割り込み、与党過半数を失う厳しい結果となった。石破茂首相だけでなく、党の要職を担う幹部らの去就にも注目が集まるなか、森山裕幹事長は続投の姿勢を崩さず、「消費税を守り抜く」と強調。一連の選挙戦でも消費税減税論に真っ向から反論し続けた。
しかし党内からは「幹事長が責任を取らないのはおかしい」とする声が噴出。とくに河野太郎元外相は「辞表を出すべきだ」と公然と批判しており、森山氏の対応に党内外で波紋が広がっている。
「消費税を守り抜く」森山氏の一貫した強硬姿勢
森山幹事長は、選挙公示直前の6月29日、奈良県五條市での講演で、「何としても消費税を守り抜く。代替財源も示さずに減税だけを主張するのはポピュリズムだ」と強調。各野党が掲げる「消費税減税」の公約を批判し、自民党は現実的な財政運営を目指す立場だと説明した。
翌日、党本部での会合でも同様の姿勢を崩さず、「消費税は社会保障と地方自治体の財源。日本の皆保険制度を支える土台だ。これを守ることが未来の責任ある政治だ」と語った。
選挙期間中の7月16日、鹿児島県霧島市での街頭演説でも「耳の痛い話を避けてはならない。それが将来に責任を持つ政治ではないか」と訴え、減税を訴える野党候補との差別化を図った。
「人間関係が大事」…政策より“義理”を重んじる政治
一方、森山氏の発言の中で特に注目されたのは、選挙とは直接関係のない“人間関係論”だった。
7月15日、和歌山県みなべ町での講演では、自民党を離党し無所属候補を支援していた世耕弘成前参院幹事長について言及。「優秀な人だが理解できない。極めて異様な選挙だ」と切り捨てたうえで、「安倍政権を支えたのは二階俊博氏。人間関係を大切にするのが政治の本質だ」と述べた。
こうした発言に対しては、党内でも「政策ではなく私情を語る幹事長に危機感を覚える」といった不満も噴出。政策議論を求める若手議員との間で溝が深まりつつある。
「責任感じている」も辞任は否定 森山氏への視線厳しく
選挙結果を受けた記者団の質問に対して、森山氏は「非常に責任を感じている」と語りつつも、幹事長職の辞任は否定。「今後も組織の立て直しに力を尽くしたい」と語り、当面の続投を表明した。
これに対し、河野太郎元外相は「責任の取り方を間違えている。辞表を出すのが当然だ」と断言。さらに、木原誠二選対委員長も「しかるべき時期に自分の進退を考える」と表明しており、幹部人事の刷新を求める声が党内で高まっている。
「もう限界」「責任逃れの連鎖」 有権者の視線は冷ややか
SNSや各メディアのコメント欄では、森山幹事長の続投姿勢に対して厳しい声が相次いでいる。
「自民党政権が“耳の痛い話”ばかりしてきた結果がこの大敗なんじゃないの?」
「消費税を守るって…国民の生活が苦しいのに、誰のための政治なのか」
「減税をポピュリズム扱いするなら、選挙って何のためにあるの?」
「責任感じてるって言いながら辞めないの、もはや伝統芸能」
「“人間関係”を大事にするのはいいけど、それって政治より優先されるのか?」
特に「消費税を守る」というフレーズに対して、「国民を守らないまま税だけを守る政治」といった皮肉が多く寄せられており、政策の優先順位に対する根本的な疑念が広がっている。
政権が“異様”なのは選挙か、それとも党か
森山氏は和歌山での講演で「今回の選挙は極めて異様だった」と表現したが、その“異様さ”の根本は何なのか。それは、地方組織との分断なのか、路線対立なのか、あるいは長期政権による感覚の麻痺なのか――。
自民党の執行部は、選挙の責任を「語るだけ」で終わらせるのではなく、行動としてどう示すのかが問われている。「退陣」こそが責任だとする声が党内外から突きつけられている今、森山幹事長の居座りがむしろ“改革の足かせ”になるとの見方すら強まっている。
国民にとって耳の痛い話は、消費税の話ではなく、「責任を取らない政治」のほうかもしれない。