2025-05-24 コメント: 1件 ▼
森山幹事長「米は安ければいいわけではない」発言に批判噴出|農家支援と国民生活の温度差
森山幹事長「米価は安ければいいものではない」発言に広がる批判
自民党の森山裕幹事長が、宮崎県での党大会で行った発言が波紋を広げている。森山氏は、コメをはじめとする農畜産物について「ただ安ければいいという話ではない。再生産ができる価格で流通すべきだ」と語り、生産者が持続的に農業を続けられるよう価格を一定以上に保つべきだという考えを示した。
その主張自体は一見、農家への支援とも取れるが、問題はその裏側にある。現在、物価高が続き、特に低所得世帯にとっては食費の上昇が深刻な打撃となっている。その中で、国の要職にある人物が「安さを求めるな」と言い切ることに、多くの国民が違和感と怒りを感じている。
「再生産価格」の本当の意味とは
森山氏の言う「再生産可能な価格」は、確かに農業の持続には重要な要素だ。長期的に安定した農業を支えるためには、収入がコストを上回る必要があるのは当然だろう。しかし、これは同時に、コメの価格上昇を容認するという政治的メッセージにもつながる。物価高で苦しむ国民感情と真っ向から対立しかねない。
特に、食料品の価格は生活に直結するため、単純に「生産者の都合」で価格を決めるような姿勢は批判を呼びやすい。農業政策の抜本的な改革や流通コストの見直しなくして、「値上げありき」の議論だけを進めるのは短絡的との指摘もある。
消費者軽視と受け止められる政治姿勢
「安さは正義ではない」とする発言は一部の農業関係者には歓迎される一方で、消費者の立場を顧みない傲慢な姿勢と取られている。特に、国民の多くが節約を強いられている現状において、この発言はタイミングが悪すぎたとも言える。
さらに、同党がかつて「市場に任せるべきだ」として米の生産調整制度を廃止してきた過去と整合性が取れていないとの指摘もある。つまり、自民党は今まで米価を市場原理に委ねてきたにもかかわらず、価格が下がると「再生産価格」として介入を求めるという矛盾を抱えている。
SNS上の声
ネット上では、さまざまな批判が相次いでいる。
「農家の苦労もわかるけど、こっちは毎日の米代に四苦八苦してるんだよ」
「だったら政府が補填すべき。庶民に負担を押し付けるな」
「誰のための政治か。票を持ってる農業団体ばかり見てないか?」
「こういう発言って、都市部の有権者に喧嘩を売ってるようにしか見えない」
「米の値段だけじゃない。今は何でも高いのに“安さが悪”みたいな発言は本当に腹が立つ」
このように、森山氏の発言は農業政策というよりも、政治姿勢そのものへの疑念を呼び起こしている。支持基盤である農村部に向けた発言が、都市部や非農家層を置き去りにしているという印象は否めない。
価格の議論より先にやるべきことは
根本的な問題は、農業の構造や中間流通の歪み、そして農政の不透明さである。単に「値段を上げろ」という主張ではなく、なぜコストが高くなるのか、どこに無駄があるのか、どのようにすれば農家も消費者も納得できる価格帯が可能なのか——そこまで掘り下げてこそ、本当の政治の仕事だ。
今回の発言は、そうした本質的な議論を回避し、選挙区向けの“受け狙い”にしか見えない。今、求められているのは「米価上昇」ではなく、「農家も消費者も報われる持続可能な仕組み」ではないだろうか。