2025-04-11 コメント投稿する ▼
石破政権に「別枠予算」で食料安保強化を要請 与党内で危機感広がる中、新基本計画始動
食料安全保障の抜本強化へ 与党が“別枠予算”での対応を要請
政府は4月11日、今年改正された「食料・農業・農村基本法」に基づき、新たな「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定した。今後5年間を初動フェーズと位置づけ、農業の構造転換を進めることで、収益力のある農業経営へのシフトを図る。背景には、気候変動や国際情勢の不安定化など、食料をめぐるリスクの高まりがある。
同日、自民党の食料安全保障強化本部(本部長:森山裕幹事長)は、石破茂首相らに対し、計画の実行に向けた“別枠予算”の確保を求める決議を申し入れた。
70回以上の議論を経て決議 背景に危機感
党内ではこれまでに70回の会合を重ね、延べ1337人の議員が参加。議論の末に取りまとめられた決議では、「既存の農林水産予算の枠内では、十分な対策が講じられない」とし、従来の枠組みとは別に、思い切った予算措置が必要だと主張している。
決議を提出した森山氏は、「今や農業を取り巻く環境は大きく変化しており、安定的な食料供給体制を再構築するには、抜本的な財政対応が不可欠だ」と語った。
計画の柱は“収益性”と“所得向上”
今回の基本計画では、平時からの食料安全保障の確立を最大のテーマに据え、農業の構造改革を一気に進める。具体的には、規模拡大やスマート農業の導入などを通じて収益性を高め、結果として農業者の所得向上を目指す。
また、消費者や地域社会と連携し、国産食料の供給体制を見直す取り組みも盛り込まれている。
“危機は足元にある” 与党の危機感
党の提言には、「日本の食料自給率が依然として低水準にとどまる中、国際的な供給網の不安定化が現実化している」との危機感がにじむ。ウクライナ情勢や円安の影響で、輸入に依存するリスクが一層顕在化したことが背景にある。
一方、農業従事者の高齢化や担い手不足といった国内の課題も深刻だ。与党内では、「このままでは国内農業の持続性が保てない」との声も強まっている。
今後の焦点は“予算措置”
政府は新計画の推進に向け、今後の予算編成を通じてどこまで具体策を盛り込めるかが問われる。石破政権としても、「食料安保」を外交・経済政策と並ぶ国家戦略の柱と位置づけており、今後の対応が注目される。