2025-07-12 コメント投稿する ▼
「運のいいことに能登で地震」発言の鶴保庸介氏、参院予算委員長を辞任へ 被災地と国民感情を踏みにじる失言
被災地を「幸運扱い」 怒りの声が全国に広がる
「運のいいことに能登で地震があった」——。
参院和歌山選挙区選出で自民党の鶴保庸介参院予算委員長が8日に放ったこの発言が、大きな波紋を呼んでいる。発言の場は参院選の応援演説。2拠点居住の必要性を強調する中で飛び出した言葉だった。
当然ながら、発言は即座に与野党から激しい非難を浴びた。特に地震被災地である石川県輪島市議会は、「被災者の心を深く傷つけるものであり、到底看過できない」と抗議文を送付。自民党内でも、森山裕幹事長が鶴保氏を厳重注意するなど、対応に追われた。
これを受け、鶴保氏は12日までに参院予算委員長の辞任意向を固めた。複数の自民幹部がこれを認めており、事実上の“引責辞任”となる見通しだ。
「被災地を“幸運”扱いって、どんな神経してるの?」
「どう考えても言ってはいけない言葉だよ」
「これ、選挙演説で言ったんでしょ?信じられない」
「辞任で済む話じゃない。議員としての資質の問題」
「能登の人の気持ちが完全に踏みにじられた」
SNS上でも、被災者をはじめ多くの国民が憤りの声を上げており、「真意はどうであれ、立場ある人間の言葉として致命的」との批判が相次いでいる。
撤回と謝罪も、炎上は収まらず
鶴保氏は発言の後に一応の「撤回」と「お詫び」を表明したものの、その内容は十分とは言い難く、火に油を注ぐ形となった。
「不適切な表現だった」「誤解を招いた」といった言い回しでは、被災者の心に寄り添っているとは到底受け取れない。災害によって人生を奪われ、住まいを失った人々にとって、「運が良かった」などという表現は侮辱以外の何物でもない。
しかもこの発言は、政策提案の正当性を示すための“例え話”として使われた。つまり、被災地の苦しみを、自らの政治主張の説得材料に用いたという点でも問題の根は深い。
被災地支援を担うべき国会議員の資質が問われる
鶴保庸介氏は1998年に初当選し、現在5期目。国務大臣や政務官も歴任しており、現職では参議院の予算委員長という重職に就いていた。
予算委員長といえば、国の支出方針や災害復旧費の決定にも深く関わる立場だ。その人物が、よりによって災害を「運が良い」と表現したことの衝撃は計り知れない。
特に能登半島地震では、今もなお数千人が避難生活を強いられており、生活再建の目処が立たない家庭も多い。そんな中での発言だけに、被災者の怒りと失望は当然だ。
与党の自浄能力と、選挙への影響
今回の件で与党・自民党にとって問われるのは、党内の発言管理と危機対応の不十分さである。
選挙期間中における重大な失言であるにもかかわらず、党として即座に辞任を促す姿勢は見られなかった。世論の反発が強まる中で、ようやく「辞任」という形に落ち着いた構図だ。
しかも、鶴保氏が応援に立った場面は参院選の真っただ中。有権者の感情を逆なでし、与党候補にとってもマイナスに働いたことは間違いない。
選挙応援という公の場で災害を「好都合」と表現した事実は、「政治の言葉は命をもてあそんではいけない」という根本原則を改めて突きつける。