2025-06-15 コメント投稿する ▼
科学技術立国の危機──安野たかひろ氏「大学交付金の復活で日本の研究力を再生せよ」
科学立国・日本が沈む?安野たかひろ氏が「大学交付金復活」で研究力の再生訴え
インド、イラン、韓国より弱くなった日本の科学技術力をどうすべきか
こう問いかけたのは、新党「チームみらい」代表の安野たかひろ氏。日本の科学研究がアジアや欧州の後塵を拝している現実に対し、彼は強い危機感を示し、具体的な再建策を打ち出している。
今、日本の科学論文の数は多くても、「トップ10%」「トップ1%」といった“質の高い研究”の世界ランキングでは、インドやイタリア、韓国、さらにはイランにも後れをとっているのが実情だ。例えば2024年のデータでは、トップ10%論文数で日本は13位、トップ1%論文数でも12位。かつて「科学技術立国」とまで呼ばれた日本が、今や成長著しい国々に抜かれてしまっている。
研究者が質の高い研究にじっくり取組むことができていない、という課題があるのではないか?
安野氏はその原因を、大学の「運営費交付金」削減に求めている。2004年に1.2兆円あった交付金は、2024年には1兆円へと減少。一方で人件費は上昇しており、教員が研究に集中する時間も、平成14年度の46.5%から平成30年度には32.9%まで低下している。これは、研究以外の煩雑な書類業務や競争的資金申請に追われている結果だ。
短期的な成果を求められる資金が増え、基礎研究や挑戦的なテーマへの取り組みがしづらい
その結果、日本からはかつてのような独創的で革新的な研究が生まれにくくなっている。研究者が腰を据えて“本当に意味ある研究”に取り組める土壌が、失われつつあるのだ。
この状況を打開するため、安野氏は「運営費交付金を2004年の水準に戻し、人件費上昇分も反映させたうえで、人事院勧告と連動する制度を新設すべき」と提言。これにより、大学教員が安定した立場で研究に専念できる環境を整備し、若手研究者の育成や長期的な研究が再び可能になると訴える。
所得上位10%の人たちへの一律給付をするよりも、科学と技術の力で日本を強くする方が優先度が高い
安野氏は、必要な追加財源は約3000億円程度と試算。これは政府が実施を検討している「国民一律2万円給付」のわずか10分の1で済む金額であり、「今こそ再分配ではなく、将来の成長へ投資を」と強く主張する。
天然資源に乏しく、少子高齢化が進む日本にとって、生き残る道は「科学技術」しかない。経済や安全保障だけでなく、気候変動や感染症といった地球規模の課題解決でも、研究開発は不可欠だ。
安野氏が率いる「チームみらい」は、単なる批判ではなく、財源と制度を含めた現実的な提案を掲げている点で注目に値する。長期視点に立った科学技術投資が政治の場でもっと語られることを願いたい。