2025-04-21 コメント投稿する ▼
政府、慰安婦資料を破棄 河野談話に反し民間研究を排除か 参院決算委で判明
民間資料の受け取り拒否 河野談話と矛盾する政府対応が明らかに
戦時中の「慰安婦」問題に関して、日本政府が民間研究者から提供された重要な関連資料を受け取らず、破棄していたことが明らかになった。問題が浮上したのは、4月21日に開かれた参議院決算委員会でのやり取り。日本共産党の紙智子議員が、政府の対応について厳しく追及した。
「河野談話」との矛盾
1993年に発表された「河野洋平官房長官談話」では、日本軍が慰安所の設置や運営、女性の移送に関与していたことを認め、「政府としても民間の研究に十分な関心を払う」との姿勢が明記されていた。しかし、それに反するような実態が浮かび上がった。
紙議員によると、2014年に民間の研究団体が政府に提出した「慰安婦」関連の資料3冊分について、内閣官房は数か月後に破棄する方針を通知していたという。これに対し、内閣官房の清野晃平内閣参事官は、「1996年に出された『平林通知』に基づき、民間からの資料は受け取らない方針としている」と答弁した。
民間研究の排除に疑問の声
紙議員は「これでは河野談話の内容を事実上ほごにしているのではないか」と問題を指摘。さらに、同資料の中には、のちに国立公文書館が政府に提出した文書と同一のものが含まれていたことにも触れ、「なぜ国として資料を排除するのか」と厳しく追及した。
これに対し、林芳正官房長官は「各省庁の判断に委ねられている」と述べ、内閣官房の対応を事実上容認する立場を示した。
「被害者の声に耳を傾けよ」
紙議員は、資料の中には「3度妊娠させられ流産し、その間も毎晩5〜6人の男性の相手を強制された」といった、被害女性の生々しい証言も含まれていたことを紹介。「こうした声を無視して良いのか」と訴えた。
さらに、昨年の国連女性差別撤廃委員会が日本政府に対し、慰安婦被害者への謝罪や賠償、市民への教育を勧告していることにも言及。「戦争犯罪に時効はない。政府は河野談話を後退させることなく、民間資料を含めた調査を進めるべきだ」と強く主張した。
政府の姿勢が改めて問われる中、「過去に誠実に向き合う」姿勢を今一度求める声が国会内外で高まっている。