2025-07-07 コメント: 1件 ▼
東電が福島原発の使用済み核燃料は「健全」と判断 青森への搬入に県民は懸念の声
「健全」とされた核燃料、搬入先は青森むつ市
東京電力が、福島第1・第2原発で保管されていた使用済み核燃料について「健全」との評価を示し、青森県むつ市の中間貯蔵施設への搬入が可能との方針を明らかにした。7日、東電の小早川智明社長が青森県庁を訪れ、宮下宗一郎知事に貯蔵計画の全体像を説明。再処理を前提とした搬出の意向を示した。
今回「健全」と評価されたのは、東日本大震災当時に福島第1原発5、6号機および第2原発1~4号機で保管されていた使用済み核燃料。いずれも廃炉作業が進行中であり、搬出によって原発構内のスペースを確保し、廃炉作業の円滑化につなげたい狙いがある。
一方で、具体的な搬入時期や数量は未定であり、搬出にあたっては改めて燃料の安全性を確認する検査が行われる見通しとなっている。
廃炉と搬出のはざまで揺れる「核のゴミ」
福島第1原発では、事故直後に1~4号機の使用済み燃料プールに海水が注入されるなどの異常事態が発生。これらの燃料については、東電も「技術的な検討を継続している」とし、搬出の対象からは外れている。
つまり今回「健全」とされたのは、事故による直接の損傷がないとされる5、6号機と福島第2原発の燃料に限られる。それでも、その安全性や中間貯蔵施設の受け入れ態勢に疑問を呈する声は根強い。
「“健全”の根拠って何?東電の自己評価じゃ納得できない」
「青森に“仮置き”って言って、永遠に置かれるんじゃ…」
「搬出=安心じゃない。最終処分の話から逃げてるだけ」
「原発は廃炉、燃料は健全、でも再処理の見通しなし?」
「原発ゼロには賛成。でも今ある燃料をどうするかも真剣に考えてほしい」
「使用済み核燃料の健全性」という言葉だけが一人歩きしないよう、科学的な根拠と透明な説明が今後の信頼形成には欠かせない。
地元青森の立場と複雑な思い
搬入先とされるむつ市の中間貯蔵施設は、東電と日本原子力発電の使用済み核燃料を一時的に保管する目的で建設された施設だ。だが、実際には「一時」がどれほどの期間を指すのか明確ではなく、過去にも「仮置き」とされた施設が半永久的な貯蔵拠点となった例も少なくない。
宮下知事は「安全性が確認されることが前提」と強調したが、県民の間には「最終処分地の議論を回避した“つなぎ”ではないか」との不信感が広がっている。
東電が中間貯蔵施設を利用するのはこれが初ではなく、今後も他地域の使用済み核燃料が搬入される可能性がある。使用済み燃料を「出す側」はスムーズでも、「受け入れる側」の負担と不安は日々増していく。
「最終処分」の議論から逃げるな
現在、日本には明確な最終処分場が存在しない。青森県六ヶ所村の再処理工場は何度も稼働延期を繰り返し、国内の「核のゴミ」は行き場を失っているのが実情だ。
今回の搬出・貯蔵は、廃炉作業の一環として「現場を片付ける」動きではあるが、最終的にどこに持っていくのか、どう処理するのかという本質的な議論は依然として先送りにされたままだ。
国民の税金を使って運用される中間貯蔵施設が「一時保管」の名の下に、実質的な最終処分地化するリスクがあることは、今後厳しく監視されるべきだ。
核燃料の健全性を誰が、どういう基準で判断するのか。そして、地域の安全と住民の不安にどう向き合うのか。廃炉やエネルギー政策のあり方が根本から問われている。