2025-05-03 コメント投稿する ▼
大阪市が放置自転車対策を強化 キタ・ミナミで毎晩撤去、関西万博見据えた“最終作戦”
大阪市が“夜の自転車一掃作戦”始動 放置地獄に終止符なるか
大阪・ミナミやキタの繁華街で、毎晩くり広げられる「自転車の根こそぎ撤去」が話題を呼んでいる。大阪市はこれまで日中に限定していた放置自転車の撤去を、4月から夜間にも毎日行う方針へと踏み切った。背景には、関西万博の開幕と、それにともなう観光客の増加がある。
道頓堀や北新地では、夜になると歩道が違法駐輪の自転車で埋まり、まるで即席の駐輪場のよう。市は「もう待ったなし」と判断し、観光の顔とも言えるエリアをきれいに保つ“最終作戦”に出た。
ネオンの下で次々と回収される自転車
4月7日の夜、大阪・道頓堀。グリコ看板前の橋の上には100台近い自転車がずらりと並んでいた。市の職員らは軽トラックで乗りつけ、防犯チェーンごと次々と撤去。たまたま自転車を取りに来た男性も、あっさりと「後日、保管場所に取りに来てくださいね」と諭された。
大阪市は令和5年11月から「リアルタイム撤去」を始めており、放置自転車を見つけしだい即座に回収している。ミナミの南海難波駅周辺では、実施前は1日平均3,300台あった放置台数が、施行後は3,100台に減少。ただし、作業が日中だけだったため、夜になるとまた増えるという“いたちごっこ”が続いていた。
そこで今回、市は夜間撤去の導入を決断。ミナミだけでなく、梅田・北新地などの「キタ」エリアでも実施する。
返還率は8割超、でも財政負担は重く
撤去された自転車は、浪速区にある「浪速西自転車保管所」に集められ、20日間保管される。保管料(自転車3,500円、ミニバイク5,000円)を払えば返還されるが、保管台数は常時1,000台以上。数十万円の高級バイクも混ざっており、職員いわく「ようやく放置はいけないことだと浸透してきた」。
ただし、売却される自転車も多く、市の歳入にはほとんど貢献しない。撤去費用は年間3.3億円以上。令和5年度までに市が撤去した自転車は延べ287万台に上る。
横山英幸市長は「歩道をふさぐ自転車は歩行者にとって危険。ぜひ駐輪場を使ってほしい」と市民に呼びかけている。
なぜ大阪で放置自転車が多いのか
大阪市によると、地形が平坦で街がコンパクトな大阪は、自転車での移動がしやすい都市。通勤や通学でも利用率が高く、政令指定都市の中でもトップクラスだという。一方で、駅前や商業エリアに駐輪場が足りていない現実も。市は「整備に適した土地が限られており、駐輪場の不足は深刻」として、今後も設置場所の確保を進める方針だ。
SNSの声:「撤去は当然」「でも駐輪場が少なすぎる」
市の夜間撤去について、SNSでは賛否が分かれている。
「夜に撤去してくれるのありがたい。道が歩きやすくなった」
「撤去ばっかりじゃなくて駐輪場増やして」
「自転車置いただけで3,500円って、学生にはキツいよ」
「夜中に持ってかれた…。せめて警告はしてほしい」
「この勢いで梅田の裏道もやってほしい!」
市民の意識も少しずつ変わりつつあるが、駐輪場の整備と啓発活動はまだ道半ば。大阪市が掲げる「放置ゼロ」の目標が達成されるには、市民・行政・民間が一体となった地道な努力が求められている。