2025-05-27 コメント: 1件 ▼
田村智子氏「党名は変えない」理由を明言 旧ソ連と決別する共産党の理念とは何か
“禁断の質問”に明確な答え
2025年5月27日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」に、日本共産党委員長の田村智子氏が出演し、MCの鈴木邦和氏から投げかけられた「党名を変えるつもりはないのか?」という直球の問いに対し、真っ向から答えた。
この問いは、長年共産党に付きまとう「イメージの問題」に関するものである。旧ソビエト連邦の国家体制や人権弾圧、粛清の歴史と、「共産党」という名称が重なることにより、現在の日本共産党の実像とは異なるイメージが広がっているのではないか、というのが鈴木氏の指摘だった。
これに対し田村氏は、旧ソ連型の社会主義は「国家的搾取の構造」であり、「マルクスの理想とは真逆」だったと明言。「私たちは、あのような体制とは断絶している」と語り、党名を変えることは「ソ連の社会主義こそが共産党の本質だった」と認めることになりかねない、ときっぱり否定した。
共産党が守り続ける“マルクス主義”の本質
田村氏は、マルクスの社会主義理論の核を「搾取の廃止」だと位置づける。搾取とは金銭やモノだけでなく、「労働によって奪われている人間の時間」であり、それを取り戻すことで「誰もが自由で創造的な時間を持てる社会」を目指すと語った。
日本共産党の綱領にも明記されているのは、「資本主義の矛盾を乗り越え、次の未来社会に進む」という方針であり、単なる体制転換ではなく、段階的な変化を志向している。資本主義の下でも「ルールある経済社会」、つまり労働者の権利や環境、ジェンダー平等を重視した秩序ある社会の構築が第一段階であると説明した。
田村氏は、「私たちはいきなり社会主義を目指すのではなく、資本主義の中で最大限に公正と自由を実現する。その先に完全に搾取のない社会がある」と明確に語った。
党名変更は「欺瞞」になる
日本共産党という名前に対する世間の“誤解”にどう対応すべきか。党内外で幾度となく議論されてきたテーマだが、田村氏は「名前を変えても理念が変わるわけではないし、イメージだけを取り繕うのは国民への欺瞞」だと断じた。
さらに、「困難な理念であっても、堂々と掲げて語り続けることが、国民への誠実な態度だ」と強調。党名を変えることで一時的に支持層を広げることはできるかもしれないが、それは本質からの逃避に過ぎないという覚悟がある。
この「茨の道」を選ぶ理由については、「党名を貫くことで、歴史に対する明確な批判と区別をつける。それが私たちの責任であり、使命でもある」と述べた。
共産党の姿勢にネットでは賛否の声
この田村氏の発言はSNS上でも広く話題となり、共感や疑問、皮肉などさまざまな声が上がっている。
「信念を貫く姿勢は評価したい。媚びない姿勢は大事」
「党名変えたら楽になるのに…やっぱり損してるよ」
「ソ連と違うと言いながら共産党名乗るのは矛盾では?」
「理念で勝負しようとするのは好感。でも現実との乖離も感じる」
「名前を変えないことで逆に信頼できるって層も一定数いるよね」
共産党に対する評価は、依然として保守層を中心に厳しいものが多いが、その理念を正面から掲げて政治を行う姿勢には一部で一定の敬意も示されている。
時代と共に理念をどう伝えるか
旧ソ連の崩壊から30年以上が経過した今も、「共産党」という言葉には歴史的イメージが色濃く残る。しかし、田村委員長の語る「科学的社会主義」や「ルールある経済社会」は、既存のステレオタイプとは一線を画す。
党名を変えずに理念を貫くという選択。それは、イメージ戦略を拒否し、誤解を乗り越えてでも真正面から信念を語り続けるという決意に他ならない。
変化の時代にあっても、信念を曲げない。その頑なさが日本共産党の個性であり、支持の源泉でもあるのだろう。