2025-09-03 コメント投稿する ▼
“反動ブロック”批判と集中期間 日本共産党が掲げる共闘路線と課題
日本共産党、中央委員会総会で決議案を提示
日本共産党は9月3日、党本部で第6回中央委員会総会を開き、田村智子委員長が幹部会を代表して決議案を提案した。会期は2日間で、翌4日まで続く。田村氏は、いわゆる“反動ブロック”と対決し、暮らしや平和、民主主義を守るために「新しい国民的・民主的共同」を構築する必要性を訴えた。さらに、第30回党大会を2027年1月に開催する方針を示し、その準備として2025年12月末までを「質量ともに強大な党をつくる集中期間」とする取り組みを提起した。
志位和夫議長も欧州での極右・排外主義の動向を紹介し、日本共産党が果たすべき役割と党建設の課題を論じた。決議案は全体を4章構成とし、参院選の総括、要求実現のたたかいの強化、そして党組織の強化について具体的に触れている。
“反動ブロック”批判と共闘路線
決議案の第1章では、日本政治が「歴史的岐路」に立たされているとの認識を強調した。自民党と公明党が参院選で過半数を失いながらも、なお政権を維持する姿勢を「反省なき権力争い」と批判。自民党にはもはや政権を担う資格はないと断じ、「出口は自民党政治を終わらせること以外にない」と述べた。
また、自民党・公明党に加え、日本維新の会、国民民主党、参政党などを「反動ブロック」と位置付け、社会保障削減や防衛費増額、憲法改正の動き、ジェンダー平等への逆流をもたらす危険性を指摘。そのうえで、日本共産党こそが「二重の役割」を果たせる政党だと主張した。すなわち、自民党政治の「二つのゆがみ」を変革する改革の推進と、極右・排外主義との闘争である。
この方針に沿って、党は市民や野党との共闘をさらに広げ、思想や支持政党の違いを超えて新しい民主的共同を構築することを呼びかけた。
参院選総括と教訓
第2章では、参院選の後退を冷静に分析した。大きな要因として、①参政党の台頭と排外主義的言説が選挙戦に影響したこと、②比例重視の戦略に弱点があったこと、③党組織の質的・量的後退が打開できなかったことを挙げた。
特に比例重視戦略については「政党選択を前面に押し出す点で弱さがあった」と率直に認め、今後は党そのものの支持を拡大する方針を強化する必要があるとした。また、SNS活用面での遅れを反省し、情報発信の系統的な取り組みを強化する課題も浮き彫りになった。
極右・排外主義への姿勢と要求闘争
第3章では、消費税減税やインボイス制度廃止、賃上げ、医療・介護支援など国民生活に直結する課題を重視する方針を示した。大軍拡反対や東アジア外交での平和的解決を訴え、国際的な進歩勢力との連帯も掲げた。
極右・排外主義との闘いについては三つの基本姿勢を提示。第一に危険性を事実に基づいて明らかにすること。第二に「政治を変えてほしい」という願いを共有し希望を示すこと。第三に幅広い市民的連帯を形成することである。自民党が極右・排外主義の「産みの親」であるとの認識を示し、その克服には自民党政治を変えることが不可欠だと強調した。
集中期間の目標と組織拡大
第4章では、第30回党大会に向けて「集中期間」を設定し、党の強化に総力を挙げるとした。具体的には、新規党員5千人の獲得、「しんぶん赤旗」の紙版・電子版拡大、理論的学習の推進などを目標に掲げた。特に若い世代への浸透を重視し、学費問題や労働環境改善を軸に世代的継承を図る意向だ。
高齢党員を大切にしつつ若年層との連携を深めることで、党の持続的発展を目指す。電子版「赤旗」の普及も新しい条件をもたらすとされ、日曜版電子版の読者数を短期間で数万人規模に増やす計画が示された。
共産党の集中期間と日本政治の行方
今回の中央委員会総会は、日本共産党にとって組織強化と共闘拡大を進める転機と位置付けられる。石破茂政権のもと、減税や憲法改正といった国民的議論が高まるなかで、共産党が示す方向性がどこまで浸透するかは未知数である。しかし「反動ブロック」との対決姿勢を鮮明にしたことは、政局の一つの焦点となることは間違いない。
ネット上では共産党の方針に賛否が割れている。
「共産党が言う“反動ブロック”って何か現実離れしている」
「インボイス廃止を掲げるなら共感できる部分もある」
「結局は自民党批判ばかりで代案が弱い」
「赤旗を増やすより、もっと現実的な政策を示すべきだ」
「市民連帯を強調するなら減税論をもっと打ち出してほしい」
国民の関心は生活の改善に直結する政策にある。給付金よりも減税を求める声、スパイ防止法の制定を求める声など、共産党の訴えとは異なる国民的要求も強い。今後の政治の行方を占ううえで、今回の総会が果たす役割は注目される。