2025-04-13 コメント投稿する ▼
「慌てた妥協は禁物」 佐藤正久氏、“トランプ関税”への日本の交渉姿勢に警鐘
米国債は“切り札”になり得る
佐藤氏は、日本が世界最大の米国債保有国であることを踏まえ、「日本の個人投資家が売ったのではないかと、アメリカ側が疑心暗鬼になることもある」と語り、「表立って言わなくても、これは非常に大きな交渉カードになる」と指摘。市場の動向一つで相手国に与える心理的影響も少なくないという。
一方で、財務省の加藤勝信財務大臣はこれに先立ち、国会で「米国債は為替介入の備えであり、外交カードとして使うべきではない」と述べ、明確に一線を引いている。
「ドタバタ劇」の米通商政策
トランプ政権は、貿易赤字が大きい国に対する関税を発表したものの、発動後すぐに90日間の適用停止を発表するなど、政策が二転三転している。佐藤氏はこれを「朝令暮改のドタバタ劇」と批判。「外から見れば、アメリカは本当に信頼できる投資先なのかと不安に思う人も出てくる」と述べた。
さらに、スマートフォンなどが関税対象から除外された件についても触れ、「『これはまずい』と思えば、アメリカは簡単に方針を変えてくる。そんな相手に対して、こちらが先にカードを譲ったら、交渉でバカを見るだけだ」と手厳しかった。
「自由貿易の旗は下ろすな」
佐藤氏は日本の立ち位置として「自由貿易の原則は守り抜くべきだ」と強調し、「焦って妥協してはいけない。交渉はしたたかに、そして腰を据えて進めるべきだ」と、落ち着いた対応の必要性を訴えた。
外交と安全保障はセットで
今回のような通商問題において、従来であれば外交と安全保障は別物とされてきた。しかし佐藤氏は「トランプ政権は、むしろ同盟国こそがアメリカの利益を食い物にしてきたという見方をしている」と分析。「これまでと同じアプローチでは通用しない。防衛や農水の担当者も一緒に交渉の場に立ち、全体の姿勢を見せるべきだ」との考えを示した。
- トランプ政権の関税政策に対して、日本は冷静かつ戦略的な対応が必要。
- 日本の米国債保有は“沈黙の交渉カード”になり得る。
- アメリカの一貫性のない対応には警戒すべき。
- 自由貿易の原則を守りつつ、交渉ではしたたかに。
- 通商問題は外交だけでなく、安全保障や農業政策とも一体で進めるべき。
慌てず、譲らず、そして油断せず。佐藤氏の発言には、日本がこれから直面する米国との駆け引きに向けた冷静な構えがにじんでいる。