2025-04-10 コメント投稿する ▼
「中国籍の副学長や博士留学生に調査を」佐藤正久氏が技術流出の懸念を表明
佐藤氏は、国公立大学に複数の中国籍の副学長が在籍していることを指摘。その中には、中国人民解放軍と共同研究の実績がある者や、「国防7校」と呼ばれる軍事技術と関係の深い大学の出身者が含まれているとした。
「副学長のポストにまで就いているとなれば、研究組織全体への影響力は大きい。彼らが中国政府の法律に従わざるを得ない立場にあることを考えれば、情報流出のリスクは看過できない」と、佐藤氏は強調した。
中国国内法の“越境適用”を問題視
佐藤氏がとくに懸念しているのは、中国の「国家情報法」や「国防動員法」が国外に住む中国人にも適用される点だ。これらの法律に基づけば、国外で得た知見や技術も本国に報告・提供する義務が課される可能性がある。
こうした背景から、佐藤氏は「博士課程の留学生や、副学長といった立場にある外国籍人材に対して、事前のリスク調査(デューデリジェンス)を制度的に導入すべきだ」と訴えた。
ドイツ・オランダでは受け入れ停止も
また佐藤氏は、中国国家留学基金管理委員会(CSC)が展開する奨学金プログラム「国家建設高水平大学公派研究生項目」にも言及。「日本で最先端技術を学ばせて、それを中国に持ち帰ることを前提とした制度だ」として、明確な技術移転の意図があると疑問を呈した。
同制度を通じた中国人留学生の受け入れは、日本の国立大学で18校、私立大学でも少なくとも5校に及んでいるという。これに対し、ドイツやオランダでは国家安全保障上の懸念から、同プログラムに基づく留学生の受け入れを停止する措置を取っている。
現行制度では限界も
委員会では、出入国在留管理庁の担当者が「違法行為などの情報があった場合に、要注意外国人としてリスト化する」と答弁したが、これに対して佐藤氏は「それでは対応が後手に回る」と指摘。
文部科学省の担当者も、CSC制度に基づく留学生の受け入れ実態を把握していないことを認めており、大学における情報管理体制の不備も浮き彫りとなった。
佐藤氏は「研究成果が流出するかどうかは、大学や研究機関に任されているのが現状。だが、それでは不十分だ」と危機感をあらわにした。
「国籍うんぬんでなく、制度の問題」
最後に佐藤氏は、「国籍の問題というよりも、国家の法制度が国外でも及ぶ点に目を向けるべき」と述べ、「大学のトップや重要な研究に関わる人材へのリスク調査は、今後ますます重要になる」と訴えた。
技術立国・日本の足元で、静かに進む“知の流出”にどう向き合うのか。国と大学、それぞれの対応が問われている。