2025-06-27 コメント投稿する ▼
公明・山口元代表が政界引退前に語った“少数与党の覚悟” 野党との合意形成に「謙虚さと責任感を」
15年の軌跡と“マイナスからの出発”
7月の参議院選挙に立候補せず、今期限りで政界を引退する公明党の山口那津男元代表が、報道各社のインタビューに応じた。2009年に党代表に就任して以来、15年にわたり公明党の舵取りを担ってきた山口氏は、自民党との連立を軸とした政権の一翼を担い続けた。その政界人生を振り返り、「一番厳しかったのは就任当初。自民党と共に下野し、どん底ではなくマイナスからのスタートだった」と語った。
当時の公明党は政権を離れ、支持母体との関係性や党勢の回復が大きな課題となっていた。そうした中で山口氏は、丁寧な対話と粘り強い交渉を重ねて連立復帰に道筋をつけた。
「今だから言えるけど、あの時の山口さんの穏やかさがなかったら公明は分裂してたと思う」
「自民と公明の連立、よく保ったよな。正直、かなりギリギリだったろうに」
連立の難しさと“信頼の構築”
山口氏は「連立を維持していくことは極めて容易でない課題だった」と振り返りつつ、「総理や総裁との直接対話や水面下の交渉を含め、あらゆる手段を使って意思疎通し、信頼関係を築く努力が必要だった」と語った。
公明党は与党内でしばしば“ブレーキ役”とも言われ、特に安全保障や原発政策などで自民党と方針が食い違う場面も多かった。しかし山口氏は、党内の意見を取りまとめながら、自民との調整役を果たし続けてきた。
一方で、山口氏の柔和なスタイルに対し「物足りなさ」を感じた有権者もいた。
「調整ばっかりしてないで、もっと自分の主張を出してほしかった」
「“公明がいなかったらもっと極端だった”っていうけど、それでいいのか?」
政権内での立ち位置が“与党の良心”として評価される一方、“存在感の希薄さ”という批判もついて回ったのが山口体制だったとも言える。
少数与党の時代に求められる姿勢
今回の参院選を前に、自民・公明連立政権は「過半数割れ」の可能性が現実味を帯びている。そうした中で山口氏は、「長期政権が続いたのは、合意形成の知恵と経験があったからこそ。少数与党になったとしても、野党の持つ民意を無視することなく、丁寧な合意形成を重ねる努力が必要」と語った。
これは、かつて民主党政権が短命に終わった理由の一つともされる「野党との協調不足」への警鐘でもある。山口氏は「謙虚な姿勢と責任感を持って政権運営にあたってもらいたい」と後進へのメッセージを残し、長年の経験に裏打ちされた現実的な視座を提示した。
「謙虚に、責任を持って…って今の政権に一番欠けてることじゃないか?」
「野党の声に耳を傾けろって、与党内部から出てくるのが逆に皮肉だな」
「山口さんは最後まで“調整型”。だからこそ言葉に重みがある」
引退後の公明党と“次なる岐路”
山口氏の引退は、公明党にとっても新たな転換点となる。現代表の石井啓一氏のもとで党運営は継続されるが、山口氏の持っていた「自民への抑制力」としてのバランス感覚が失われることを懸念する声は党内外に少なくない。
特に、選挙協力をめぐる自民との関係、憲法改正などセンシティブな政策課題をどう舵取りするかが問われる中、公明党が「ただの補完勢力」になってしまう危険も孕んでいる。
山口氏が最後に示した「野党とも合意を形成する政治」が、今後の政権の現実的モデルとなりうるのか。あるいは、与野党が対立を深める中で“絵空事”として忘れ去られるのか。参院選後の国会運営が試金石となる。