2025-08-21 コメント投稿する ▼
日航機事故を「世界の記憶」に 群馬知事が遺族要望に「検討」と応答
日航機事故を「世界の記憶」に 群馬知事が遺族要望を受け止め
群馬県の山本一太知事は21日、1985年に発生し520人が犠牲となった日本航空ジャンボ機墜落事故の遺族から、「事故の記憶を風化させないため、ユネスコの『世界の記憶』への登録を目指してほしい」との要望書を受け取ったことを明らかにした。
知事は「二度とあのような事故を起こしてはならないという思いとともに、記憶の風化を防ぎたいというご遺族の気持ちはよく分かる」と語り、県として対応を検討していく考えを示した。
遺族からの要望と登録の意義
要望書は、事故から40年を迎えた今年8月12日に群馬県上野村で行われた追悼慰霊式の後、一部の遺族から知事や県選出の国会議員に手渡された。遺族側は、事故を巡る記憶が薄れることや、根拠のない偽情報が拡散されることへの懸念を背景に、「国境を越えて空の安全を願う記憶の場としたい」と訴えた。
ユネスコの「世界の記憶」(Memory of the World)登録は、人類共通の記録遺産を保存・継承する制度であり、戦争や災害、事故の教訓を後世に伝える仕組みとして活用されている。日航機事故の登録が実現すれば、日本国内外で空の安全への意識を高める契機となる。
知事の発言と今後の対応
山本知事は「『世界の記憶』となると、まずは政府が当事者で関係先は国土交通省であり、ご遺族全体の総意が必要になる」と説明。その上で「県として何ができるか、よく検討していく」と述べた。協議機関の設置について問われた際には「まだ具体的なことは申し上げられない」としつつも、支援の可能性に含みを持たせた。
県が主体的に登録申請を行うことは難しいとみられるが、遺族と国、自治体が連携し、事故の教訓を国際的に共有する枠組みをどう構築するかが今後の課題となる。
国民の声と事故の記憶
日航機事故は、単独機の航空事故として世界最多の犠牲者を出した痛ましい出来事である。520人の命が失われた記憶をどう継承するかは、遺族だけでなく社会全体の課題だ。SNS上でも多様な声が寄せられている。
「事故を知らない世代も増えている。記憶遺産登録は意義がある」
「遺族の思いを国がしっかり受け止めてほしい」
「40年経っても苦しんでいる家族がいる。風化は許されない」
「偽情報や陰謀論が広がる前に、公式に記録を残すべきだ」
「世界に伝えることで、安全への警鐘になる」
事故の悲劇を「歴史の教訓」として未来にどう残すか。群馬県の動きは、その第一歩として注目される。