2025-04-17 コメント投稿する ▼
【太田市長選】83歳現職に幕、50歳新人が初当選 山本知事「実に不思議な選挙だった」
太田市長選、“静かな波乱”の結末 83歳現職を破り、穂積氏が初当選
13日に投開票された群馬県太田市の市長選で、無所属新人の穂積昌信氏(50)が、6期目を目指した現職・清水聖義氏(83)を2100票余りの僅差で破り、初当選を果たした。清水氏は合併前の旧太田市時代も含めて通算8期、市政をけん引してきたが、約30年ぶりの市長交代となった。
「実に不思議な選挙だった」と知事も驚き
選挙を支援した山本一太・群馬県知事は17日の定例会見で、「長年、いろんな選挙を見てきたが、今回は本当に不思議だった」と語った。表向きは保守分裂選挙のように見えるが、実際の選挙戦は異例の静けさだったという。
「街頭の熱気も少なく、県外から応援に入った県議も『これが選挙戦?』と驚いていた」と振り返る。穂積氏自身は目立った新政策を掲げず、訴えたのはただひとつ、「世代交代」だった。
それにもかかわらず、若年層——20~40代の支持が清水氏に多く集まり、高齢層——とくに70代以上が穂積氏を後押しするという、常識とは逆転した構図が浮かび上がった。
「『もう引退を』と訴える候補に、高齢者が票を入れるとは思わなかった」と山本知事。選挙の行方を決定づけたのは、この“高齢層の心変わり”だったのかもしれない。
リベラル県議の一本化支援が鍵に
もう一つ、情勢を大きく変えた要因として挙げられるのが、リベラル系の阿部知世県議(立憲民主)が出馬を断念し、穂積氏支援に回ったことだ。
「与野党が拮抗してきた太田の政治風土を考えると、阿部県議の判断は象徴的だった」と山本知事は強調する。支持基盤の“一本化”が穂積陣営に勢いをもたらした。
清水市政30年の実績と今後の課題
敗れた清水氏は、地元プロバスケットボールチーム「群馬クレインサンダーズ」の招致や、国際教育に特化した「群馬国際アカデミー」の創設など、数々の実績を積み重ねてきた。
さらに、太田市を国内唯一の製造拠点とするSUBARU(スバル)との連携強化も、市政の大きな柱となっていた。清水氏とのパイプの深さは、地元経済にとっても重要な意味を持っていた。
山本知事は「トランプ政権が再び関税圧力をかけてくる可能性がある中、SUBARUを守るという観点からも、太田市のかじ取りは今後ますます重要になる」と語り、新市長の責任の重さをにじませた。
新市長の第一声は「覚悟」
初当選した穂積氏は「責任の重さを痛感している。清水市政の良い部分は引き継ぎつつ、時代に合った変革を進めたい」と述べた。
今後は、スバルを中心とした地場産業との連携、人口減少対策、教育や医療福祉の充実など、数多くの課題が待ち受ける。政治経験は豊富とはいえ、現場感覚とスピード感が求められる場面も増えそうだ。
- 穂積昌信氏が現職・清水聖義氏を破り初当選(得票差約2100票)
- 山本一太知事が「不思議な選挙」と振り返る異例の展開
- 若年層よりも高齢層が「世代交代」を支持
- 阿部知世県議の支援が勝敗に大きく影響
- SUBARUとの関係など、引き継ぐべき市政の土台も多数