2025-04-18 コメント投稿する ▼
米下院「中国特別委」が石垣市を異例訪問 台湾有事への備え巡り市長・議会と意見交換
米下院「中国特別委員会」、石垣市を異例の訪問 台湾有事に備えた意見交換
2025年4月18日、米国連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」(以下、中国特別委員会)の政策スタッフらが沖縄県石垣市を訪れ、中山義隆市長や市議会議員と面談した。同委員会が日本の地方自治体を訪問するのは異例であり、地理的に中国に近い石垣市の実情や、日米間の協力体制について意見を交わすことが目的とされた。
面談の概要と市側の懸念
面談は非公開で行われ、在沖米総領事館や沖縄防衛局の職員らを含む10人以上が参加した。中山市長は、万が一「台湾有事」が発生した際に台湾から石垣市へ避難民が流入する可能性や、尖閣諸島を巡る現状への懸念を米側に伝えた。また、市議会の我喜屋隆次議長によれば、議員側からは「台湾有事」に関する質問が多く挙がり、市民から「島を離れたくない」「戦場にしてほしくない」との声があることを米国議会に届けてほしいと要望した。米側は「戻ったら、しっかり伝える」と応じたという。
石垣市の避難計画と市民の不安
石垣市では、台湾有事を想定した住民避難計画が進められている。計画では、約12万人の住民や観光客を6日間で九州各県や山口県へ避難させることが想定されており、民間航空機やフェリー、自衛隊や海上保安庁の船舶などを使用し、1日で約2万人の輸送力を確保するとされている。
中山市長は、避難は他国からの武力攻撃が予測される事態において、安全性が確保された上で行われると説明しており、自衛隊や米軍の艦船・航空機を使った避難は想定していないと述べている。
しかし、市民からは「住み慣れた島で一生を終えたい」「戦争を想定した避難計画を立てていること自体があってはならない」といった不安の声が上がっている。特に、障がい者や高齢者など、避難時に支援が必要な人々への配慮や情報提供のあり方について懸念が示されている。
今後の課題と展望
今回の米側との面談は、石垣市が地政学的に重要な位置にあることを改めて示すものであり、台湾有事を巡る国際的な関心の高まりを反映している。一方で、避難計画の策定や実施にあたっては、市民の不安や懸念に丁寧に対応し、平和的な解決を目指す努力が求められている。
石垣市では、今後も住民との意見交換会や避難訓練を通じて、計画の具体化と理解促進を図る方針である。また、国や県との連携を強化し、実効性のある避難体制の整備が急務とされている。
- 米下院「中国特別委員会」の政策スタッフが石垣市を訪問し、中山市長や市議会議員と面談。台湾有事を巡る意見交換を実施。
- 中山市長は、台湾からの避難民流入や尖閣諸島の現状への懸念を伝達。市議会からは、市民の不安の声を米側に届けるよう要望。
- 石垣市では、約12万人を対象とした避難計画を策定中。民間航空機やフェリー、自衛隊・海上保安庁の船舶を使用し、6日間で九州や山口県へ避難させる想定。
- 市民からは、避難計画に対する不安や懸念の声が上がっており、特に障がい者や高齢者への配慮が求められている。
- 石垣市は、今後も住民との意見交換や避難訓練を通じて、計画の具体化と理解促進を図る方針。国や県との連携強化も課題となっている。