2025-08-21 コメント投稿する ▼
千葉県知事「エアコン補助は到底無理」 東京都との財源格差に不満と警鐘
千葉知事、エアコン補助に否定的見解
東京都が導入を進める「省エネ性能の高いエアコン購入補助」について、千葉県の熊谷俊人知事は21日の定例会見で「他の自治体では到底考えることのない政策」と述べ、否定的な立場を示した。背景にあるのは、首都圏で顕著な「税源偏在」だ。税収が突出して多い東京都だからこそ可能な施策であり、千葉を含む周辺自治体では到底実施できないとの認識を示した。
熊谷知事は「東京都とそれ以外で財源の格差による顕著な差が表れている」と語り、今回の補助策はその象徴だと指摘。「全ての自治体がそう思っている」とも述べ、自治体間の財政力格差に対する不満をにじませた。
東京都の施策と千葉県の立場
東京都はすでに省エネ性能の高いエアコンを新規に購入したり、故障に伴って買い替えたりする場合に、購入価格から一定額を値引きする制度を導入している。今後はさらに高齢者や障害者世帯を対象に、値引き額を上乗せする方向だ。
一方で千葉県には、同規模の補助策を実施できるだけの余裕はない。千葉県の一般会計規模は東京都の約5分の1に過ぎず、都のように大胆な個別支援を打ち出すことは難しい。熊谷知事の発言は「都民と県民で生活支援策に格差が生まれる現実」への警鐘でもある。
「都民だけが冷房支援を受けられるのは不公平」
「千葉や埼玉に住んでいても同じ暑さに苦しんでいる」
「結局は税収の差で命の格差が広がる」
「東京都は国並みに潤沢な財源があるのだから当然」
「他県が真似できない政策をアピールするのはどうなのか」
SNS上では、都の財源力を背景とする政策の差に賛否が飛び交っている。特に「暑さから命を守る対策」に地域差が生まれることへの不満が多い。
税源偏在の課題
税源偏在とは、経済活動や人口の集中する都市部に税収が偏ることを指す。東京都は法人税や所得税の集まり方が突出しており、全国の自治体と比べても格段に潤沢な財政基盤を持つ。一方で、近隣県や地方自治体はその恩恵を受けにくく、結果として福祉施策や生活支援策に格差が広がる。
政府はこれまで地方交付税や一部の税財源移譲で調整を図ってきたが、十分な是正には至っていない。今回のエアコン補助は、その格差を改めて浮き彫りにする形となった。
今後の展望
千葉県は独自に高齢者や障害者の生活支援策を実施しているが、東京都のような家電購入補助には踏み切れない。熊谷知事の発言は、単なる「補助に否定的」というよりも、自治体間の不公平な財源構造を問題提起したものといえる。
一方、猛暑が常態化する中で、冷房設備の確保は命に直結する課題である。地域によって支援の手厚さが異なる現実が、国民の不公平感を増幅させる可能性がある。国による統一的な支援制度の検討が、今後ますます求められるだろう。
東京都が打ち出すエアコン補助策は、財源の豊富さを背景にした独自政策であり、千葉県を含む他自治体にとっては「実現不可能な施策」と映っている。熊谷知事の発言は、暑さ対策そのものよりも「財源格差による生活支援の不平等」を問題視したものだ。命に直結する支援で格差が生じる現状をどう是正するか、国全体での議論が必要となっている。