2025-08-07 コメント投稿する ▼
西田昌司氏、北陸新幹線ルートで主張を転換 「民意に押された」選挙後の急旋回
西田昌司氏、北陸新幹線ルートで“方針転換” 参院選辛勝がもたらした政治判断
2025年夏の参院選京都選挙区で、自民党の現職・西田昌司氏(66)が辛くも議席を守った。その背景には、かねて推進してきた北陸新幹線敦賀―新大阪延伸における「小浜・京都ルート」への逆風が強まり、「民意に押された」とも言える方針転換があった。
西田氏はこれまで、与党整備委員会の委員長として現行ルートの旗振り役を務めてきた。しかし選挙戦では、新人の日本維新の会・新実彰平氏が「米原ルート」など代替案の再検討を訴えて33万票超を獲得し、トップ当選。西田氏は一時、落選危機にまで追い込まれた。
選挙後、西田氏は自身のYouTubeで「米原ルートの再検証を求めたい」と発言。立場を180度転換し、現行計画の見直しに言及したことで、政界にも波紋が広がっている。
「新幹線ルート変える気なかったのに、選挙終わったら手のひら返し」
「信念で動いてたんじゃなくて、票のためだったのか」
「あれだけ小浜ルートを正当化してたのに…」
「選挙って怖い。民意の一撃で主張が真逆に」
「勝てば官軍、負けそうになれば主張も変わる」
SNSでは、こうした西田氏の“急旋回”に対する驚きと批判が入り交じっている。
「小浜・京都ルート」を主導してきた西田氏 それでも覆った理由
西田氏はかつて、北陸新幹線の関西延伸において「小浜・京都ルートこそ最適」と訴え続けてきた。京都を通ることで地域経済の活性化を図る狙いがあり、2016年には与党内でこの案を決定に導いた中心人物の一人でもある。
だが、現実には建設費の膨張や地下水・残土処理への懸念が強まり、京都市民や業界団体からも反対の声が噴出。酒造組合や仏教会も計画に異議を唱えるなど、ルート選定そのものが政治的火種となっていた。
さらに選挙戦では、自民党への逆風に加え、西田氏自身の「ひめゆりの塔」発言への批判も重なり、野党候補から集中砲火を浴びた。特に、新実氏が北陸新幹線の再検討を掲げて「現行ルートNO」の民意をすくい上げたことで、西田氏の立場は一変した。
選挙後、西田氏は「勝手なことをやったというイメージを持たれた」と振り返り、現行計画の妥当性を一から見直す姿勢を打ち出した。これは、政治家としての信念というより、生き残りをかけた現実的対応と見る向きが多い。
京都vs滋賀、舞鶴案も浮上 西田氏の再検証要求が火種に
西田氏が「米原ルート」「舞鶴ルート」への再検証に言及したことで、近隣自治体との摩擦も表面化している。滋賀県の三日月大造知事は「正直戸惑う。望まないことを押し付けられるのは望ましくない」と不快感をあらわにした。
米原ルートが採用されれば、湖西線の経営分離や建設費負担が県の大きな課題となるため、滋賀県側としては歓迎できない。一方で、京都府北部の舞鶴市を通す案については、京都商工会議所の堀場厚会頭が「再考すべき」と個人的に発言するなど、地域間の思惑が複雑に交錯している。
こうした中、京都府の西脇隆俊知事は「民意を国がどう判断するか注視する」と述べ、国主導での再検証を求める姿勢を示している。
問われるのは「選挙のための方針転換」か「本気の再検討」か
西田氏の方針転換は、選挙後に「民意を受け止める」としたポーズに過ぎないのか。それとも、本当に現行ルートの再検証を望んでいるのか。その本気度が今後の焦点だ。
再検証を求めた以上、与党整備委員会での議論の行方や、国交省との調整、さらには沿線自治体との合意形成まで、西田氏の責任は重くなる。選挙で勝ち残るために方針を変えたのなら、それは「民意の裏切り」になりかねない。
北陸新幹線のルート問題は、単なる土木計画ではなく、地域間の信頼関係、税金の使い道、そして政治家の信念が試される国家的課題である。西田氏が今後どのような行動を取るかが、まさにそのリトマス試験紙となるだろう。