2025-07-21 コメント投稿する ▼
大阪自民が27年ぶりに議席失う 「石破首相じゃなければ…」府連と党本部の溝が招いた大敗
大阪自民、27年ぶりの議席失う 石破政権との確執が残した深い爪痕
2025年参議院選挙で、自民党は大阪選挙区において27年ぶりに議席を失うという歴史的な敗北を喫した。強固な地盤を誇っていた関西でのこの大敗は、単なる候補者個人の問題にとどまらず、党本部と地方組織の対立、そして石破茂首相に対する不信が複雑に絡み合った末の結果だった。
敗北の直接的な要因として挙げられているのは、日本維新の会の強さだけではない。府連と党本部の間に横たわる「信頼の断絶」、石破政権の姿勢に対する不満、さらに自民党支持層の動揺と分裂が、今回の選挙で一気に噴き出した形だ。
擁立の遅れと準備不足 支持固めきれず
大阪選挙区に擁立された柳本顕氏(51)は、かつて大阪市議や衆院議員を務めた保守系政治家。自民党府連は公募による新陳代謝を望んでいたが、党本部は現職の続投を希望。結局、現職の体調不良により出馬辞退が決まり、柳本氏が公募で選ばれたのは、公示のわずか数週間前である6月中旬だった。
準備不足は明白だった。党本部と府連のすれ違いが尾を引き、地元支持層への浸透は遅れた。柳本氏自身も「出遅れというか、時間がないと感じていたのは事実だ」と敗戦の弁を述べている。
選挙戦中、青山繁晴府連会長が街頭に立ち、懸命に支持を訴えたが、肝心の党本部との方針のズレは最後まで埋まらなかった。
「積み上げた票が崩れる」 石破首相にボイコット
その象徴的な場面が、選挙終盤に起きた。7月16日、石破茂首相が大阪入りし、街頭演説を行った。これに青山氏は「積み上げた票が崩される」と猛反発。首相演説をボイコットし、同行も拒否した。
首相が消費税減税に否定的な考えを示していたことに対し、柳本氏自身は「私は減税に取り組む」とあえて異を唱え、地元支持層へのアピールに出た。だがこうした“分裂選挙”の印象は拭えず、「本来の支持者が、甘く見ても4割程度しかついてこなかった」(青山氏)というのが実情だ。
一方で、支持層の中にはこうした青山氏の姿勢を評価する声もあった。「首相が石破さんじゃなければ、結果は違っていた」という恨み節が府連内で漏れる一方、「今の党本部のやり方にはついていけない」という地方議員の嘆きも聞かれた。
分裂の代償と“3日あれば”の悔恨
今回の選挙で、自民党大阪府連はまさに「分裂」の代償を払う形となった。青山氏は「最後まで競り合い、よく踏ん張った。あと3日あれば…」と悔しさをにじませたが、票は戻り切らなかった。
青山氏は責任を取り、府連会長を辞任する意向を表明。その上で、石破首相について「身を処されるべきであり、お辞めになるべきだ。石破政権はレームダックだ」と痛烈に批判した。
自民党は8月1日召集の臨時国会を控えており、党内では執行部責任や政権交代論が再燃している。特に大阪をはじめ都市部での大敗は「党の構造的問題」として、さらなる議論を呼びそうだ。
市民の声「保守が割れたら勝てない」
SNSでは今回の大阪選挙区の結果をめぐり、さまざまな有権者の声が上がっている。
「維新が強いのもあるけど、自民が分裂してたらそりゃ勝てない」
「石破さんじゃ無理って言われてるのに、変えなかった責任は重い」
「府連と党本部が喧嘩してるのを有権者はちゃんと見てたよ」
「現場の声を無視して中央が押し切るから、こうなるんだよ」
「減税しないって言われた時点で、もう支持できなかった」
地方の声をどう拾い、どう政策に反映させていくか。政党にとっては基本中の基本であるはずのことが、見失われていたのではないかという指摘も多い。
「次の自民」はあるのか 分裂の傷と再生の課題
27年ぶりの議席喪失。自民党にとって大阪は長年「苦戦区」だったが、それでも何とか堪えてきた。それが今回は完全に崩れた。党本部のメッセージ、政権の政策、候補者擁立のタイミング、地元との関係性。どれ一つとして噛み合わなかった。
石破首相は9月末の党役員任期にあわせた人事を模索しているとされるが、現場ではすでに限界を超えているとの声もある。大阪で起きたことは、決して一地域の問題ではない。いま、自民党そのものの再構築が問われている。