2025-05-26 コメント投稿する ▼
都立高校入試に英語スピーキングテストの不正疑惑 報告書改ざんと試験監督不足で信頼揺らぐ
都立高校入試の英語スピーキングテストに不正疑惑 試験監督不足や報告書改ざんも
東京都が都立高校の入試に導入している英語スピーキングテスト(ESAT-J)で、試験運営のずさんな実態が浮かび上がっている。運営に関わった関係者が報告書の改ざんを証言し、試験監督の不足や機器トラブルも多発していたことが分かった。このような状況に対し、「このテストを入試に使うのは不適切」との批判が広がっている。
報告書を消しゴムで修正 公平性に疑問
英語スピーキングテストは、都内の公立中学校3年生約7万人が受ける大規模試験だ。2022年度からスタートし、2024年度からは運営がベネッセからブリティッシュ・カウンシルに切り替わった。だが、運営体制の問題は深刻だ。
ある試験会場で監督者をまとめていた20代の男性は、試験実施報告書を「不具合ゼロ」と書き直す場面に立ち会ったという。もともと書かれていた「使用機器の不具合」や「別室での対応」などの内容を、責任者が消しゴムで消して修正。男性は「なぜこんなことをするのか」と問うと、責任者は「自分が怒られるから」と答えたという。試験の正確性と受験生の権利が軽視された実態に、関係者の間でも疑念が広がっている。
人員不足で試験監督を当日募集 説明も遅延
試験当日はアルバイト監督者の欠席が相次ぎ、複数の教室で監督が配置されず、生徒が無人の状態で待たされる事態が発生。男性はそのうちの一つの教室で、予定より10分遅れて説明を行ったと証言する。
さらに驚くべきことに、試験当日の正午過ぎ、都内12カ所で「試験監督急募」と題したメールが送られていた。試験開始15分前までに人員を確保しようとする異例の対応で、準備不足が露呈した格好だ。中には、試験当日まで試験が入試に使われることを知らなかった運営スタッフもおり、情報共有の不備も問題となっている。
トラブルで再試験対象が激増
東京都教育委員会は、2023年度に比べ4倍となる255人が再受験の対象になったと発表した。その理由の多くは、タブレットや録音機器の不具合、監督者の説明ミスなどによるものだった。公平に試験を受けたはずの受験生が、再試験を余儀なくされるという理不尽な状況も少なくない。
都議会は継続方針 市民からは不信の声
この問題を受けて、日本共産党都議団は入試での活用中止を求めている。都議会では斉藤まりこ都議が、試験監督の当日募集メールを提示し追及したが、都の教育長は「基本的には適切に運営できている」と答弁。自民・公明・都民ファーストなどは請願を否決し、制度の継続を支持する姿勢を見せている。
一方、SNSでは都の対応に批判の声が広がっている。
「受験生が何も悪くないのに再試験だなんて、あまりに可哀想」
「公平性が保てない試験を入試に使うなんて信じられない」
「試験監督が足りない状態で入試扱いとか、不安でしかない」
「責任者が怒られたくないから報告書を改ざん? あり得ない」
「教育委員会の言い訳ばかりで誠実さが感じられない」
問われる公的試験の信頼性
英語スピーキングテストの導入は、スピーキング力の評価という観点で意義がある一方、運営の杜撰さが続けば信頼性そのものが揺らぐ。受験生の人生を左右する入試において、正確かつ公平な試験体制が求められるのは当然だ。都教育委員会には、現場の声と問題の実態を真摯に受け止め、抜本的な見直しが求められる。