2025-09-04 コメント投稿する ▼
高齢者狙う給湯器・ブレーカー点検商法 東京都が警戒強化し特別相談窓口設置
給湯器やブレーカー狙う新手の点検商法
東京都消費生活総合センターは9月、「敬老の日」に合わせ、近県と連携して「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン」を展開している。高齢者を狙った訪問販売型の詐欺的手口は根強く残っており、最近特に増加しているのが給湯器やブレーカーを口実とする点検商法だ。
かつては「屋根がずれている」「基礎が危険」といったリフォーム名目の点検商法が目立っていたが、警察による摘発の強化もあり、東京都内の相談件数は令和5年度の702件から6年度は357件にまで減少した。ところが、その代わりに増えているのが給湯器や電気ブレーカーを巡る相談であり、高齢者の生活インフラに直結する機器が新たなターゲットとなっている。
集合住宅を狙う悪質業者の手口
集合住宅にも普及している給湯器は、訪問販売業者にとって絶好の標的だ。高齢者の多くは「ガス器具は数年に一度点検がある」という認識を持っているため、「点検に来ました」と名乗られると疑いを持ちにくい。
都消費生活総合センターの高村淳子相談課長によると、業者は点検を装い、「機器が古くて危険」「すぐに交換が必要」と不安を煽る。その結果、必要のない給湯器や関連商品を高額で購入させられるケースが後を絶たない。さらに電気ブレーカーを巡る点検商法も拡大しており、6年度の相談件数は前年度の20倍超にまで急増したという。
「うちの親も『点検です』と来られて信用しかけた」
「給湯器なんて急に危ないと言われたら不安になる」
「ブレーカーまで商売のネタにされるのは腹立たしい」
「こういう訪問業者は全部記録して公表してほしい」
「一人暮らしの高齢者は本当に狙われやすい」
こうした声からも、被害が身近に迫っている現状が浮き彫りになる。
法の網をすり抜ける「点検商法」の厄介さ
点検商法は特殊詐欺のように「明確な犯罪」として摘発しにくい側面がある。訪問販売そのものは合法であり、契約も形式上は「本人の同意」に基づいているためだ。そのため被害に遭っても警察に届け出られるケースは少なく、消費生活センターへの相談が重要な役割を果たしている。
都内では給湯器やブレーカーを扱う業者が10社程度確認されているとされ、組織的に高齢者を狙っている疑いもある。だが一方で「違法とは言い切れない」ため、行政と消費者の連携が求められているのが現状だ。
相談窓口と家族の見守りが鍵
都消費生活総合センターは、今月8日から10日にかけて「高齢者被害特別相談」を実施し、通常よりも相談員を増員して対応する。高齢者本人が利用できる「高齢者被害110番」(03・3235・3366)や、家族・介護者向けの「高齢消費者見守りホットライン」(03・3235・1334)が設けられており、少しでも不安を感じたら早めに連絡するよう呼びかけている。
被害を未然に防ぐためには、家族や地域による声かけ、そして「点検です」という訪問に安易に応じない警戒心が不可欠だ。高齢化が進む社会において、こうした悪質商法をどう防ぐかは喫緊の課題となっている。
高齢者を狙う給湯器・ブレーカー点検商法の実態と対策
給湯器やブレーカーといった生活必需品を狙った点検商法は、従来のリフォーム点検商法から姿を変えながら拡大している。法的なグレーゾーンを突く手口は摘発が難しく、被害者本人が気づかぬうちに高額契約を結んでしまう危険が高い。
行政による啓発や特別相談窓口の整備に加え、家族や地域社会が高齢者を見守る体制を強化することが、被害防止の鍵を握る。再発防止には「少しでもおかしいと感じたらすぐ相談する」という意識を社会全体に広げることが重要だ。