2025-05-09 コメント投稿する ▼
教員の長時間労働問題:給特法改定案は解決にならず?日本共産党・田村議員が強く批判
教員の長時間労働、給特法改定案への批判が続出
日本共産党の田村貴昭議員は、9日の衆議院文部科学委員会で、教員給与特別措置法(給特法)の改定案に強く反対の姿勢を示した。この法案が教員の長時間労働を根本的に改善できないと指摘し、残業代の支給制度を整え、教員数の大幅な増加が必要だと訴えた。
給特法は長時間労働の温床
田村氏は、教員の長時間労働が健康被害を引き起こし、多くの教職員が病休を余儀なくされている現状を強調した。全日本教職員組合(全教)の調査によれば、全国で約4,739人の教員が不足している。さらに、埼玉県の公立小学校の教員が「残業代の不支給は違法」と訴えた裁判では、時間外労働が認定されたにもかかわらず、給特法のせいで残業代が支払われなかったとされる。
田村氏はこの点について、「労働者として当然保障されるべき権利が、給特法の存在で奪われている」と強調。国や文部科学省は、教員の基礎定数を増やし、業務量を減らすべきだと訴えた。
「自主的時間」の名目で長時間労働を正当化
阿部俊子文部科学大臣は、教員の「自主的な時間」が尊重されるべきだとし、改定案には合理性があると主張した。しかし田村氏は、この主張を「現場の実態を無視したもの」として一蹴。改定案では校長が教員の勤務時間を管理し、超過勤務を削減する義務は課されておらず、事実上の長時間労働を容認していると批判した。
「給特法は現場の声を無視し、長時間労働を助長している。教員や教職志望の学生たちからは『給特法は廃止すべき』との声が多く寄せられている」と田村氏は述べた。
国際的勧告も無視される日本の教育現場
田村氏は、国際労働機関(ILO)とユネスコの合同専門家委員会(CEART)が2023年9月に発表した勧告を引き合いに出し、「所定労働時間を超える労働には、適切な報酬を支払うべきだ」と指摘。国際的にも日本の教員労働環境は問題視されていると訴えた。
また、2026年度から中学校で35人学級が導入されるが、3年間かけた段階的な実施では教員数が減少し、少人数学級の実現は難しいと警鐘を鳴らした。田村氏は、「少人数学級を推進するには、明確な目標と計画のもと、教員数を増やすことが不可欠だ」と述べた。
* 給特法改定案は教員の長時間労働を改善できないと田村議員が批判
* 残業代の不支給は教員の権利を侵害している
* ILO・ユネスコも日本の教員労働環境に懸念を表明
* 少人数学級の実現には教員数の増加が不可欠
教員の過労は、教育の質の低下にも直結する深刻な問題だ。政府は給特法の見直しを含め、教員が安心して働ける環境を整えるべきだとする声が高まっている。