2025-04-16 コメント投稿する ▼
B型肝炎訴訟で福岡高裁が救済拡大案提示 再々発型も対象に、国の対応が問われる
福岡高裁が和解案 B型肝炎被害者の救済範囲拡大へ
集団予防接種によるB型肝炎感染で国に賠償を求めている全国B型肝炎訴訟で、福岡高等裁判所が3月14日、救済対象を広げる和解案を提示した。注射器の使い回しという当時のずさんな衛生管理が原因で感染した被害者に対し、従来より広範囲な救済を認める方向性を示したことに、多くの関係者が注目している。
和解案のポイントは、従来の「発症から20年以内でなければ満額給付されない」とする国の主張に対し、慢性肝炎の再発や再々発のタイミングを起算点として除斥期間を柔軟に解釈するというもの。これにより、従来は対象外とされた被害者にも補償の道が開かれる可能性が出てきた。
「治療費にも満たない給付額」 被害者の声と国会での訴え
こうした動きを受け、日本共産党の田村貴昭衆議院議員は4月16日、国会の厚生労働委員会で国の対応をただした。田村氏は、36歳になるまで8回も入退院を繰り返したという原告の例を紹介。「除斥期間を理由に給付金が300万円に減額され、治療費にも満たないのは理不尽だ」と訴えた。
「早期救済を掲げるなら、裁判所が示した方向で速やかに解決すべきだ」と政府の姿勢を厳しく批判した。
倉林議員「除斥対象者にも公平な救済を」
また、倉林明子参議院議員も15日の同委員会で発言。「除斥されているすべての原告が救済されるべきだ。対象を狭めたり、協議を引き延ばすようなことは絶対に許されない」と国の姿勢に強い懸念を示した。
さらに、「そもそも感染拡大の原因は、国が進めた予防接種で注射器の使い回しが行われたことにある」と、国の責任を改めて強調。「40万人もの被害者を出した責任の重さを、政府は忘れてはならない」と訴えた。
4年たっても進まぬ全体救済 国の姿勢問われる
2021年の最高裁判決では、迅速かつ包括的な救済を求める判断が示されていた。しかしそれから4年が経過しても、なお一部の被害者が除斥を理由に補償を受けられない現実がある。
福岡資麿厚労大臣は、「基本合意書(2011年)に立脚し、早期救済に努めたい」と述べたが、具体的な対応には踏み込まず、被害者側の不信感は根強い。
今後の焦点は「国が和解案を受け入れるか」
被害者団体や弁護団は、福岡高裁が示した新たな和解案を国が受け入れ、対象の拡大と迅速な協議入りを強く求めている。
事態の打開には、国がこれまでの硬直した対応を改め、裁判所の提案を真摯に受け止めることが不可欠だ。命と健康を損なわれた被害者たちに、これ以上の時間的・精神的負担を強いるべきではない。