2025-04-23 コメント投稿する ▼
訪問介護報酬の引き下げで全国の事業所が減収 田村議員が抜本的改定を要請
訪問介護報酬引き下げで事業所減収、全国で深刻化
2024年度の介護報酬改定により、訪問介護事業所の経営が悪化し、全国で減収が深刻化している。厚生労働省の調査によると、2024年8月の介護保険収入は前年同月比で56.8%の事業所が減収となった。地域別では、中山間地域や離島で58.7%、都市部で58.5%と、いずれの地域でも高い減収率が報告されている。
厚労省は、訪問回数の減少が収支悪化の主因と説明しているが、実際には訪問1回あたりの収入が微増しているにもかかわらず、全地域で減収が発生している。これは、報酬改定による影響が大きいと考えられる。
中山間・離島地域での影響と事業所の閉鎖
特に中山間地域や離島では、訪問介護事業所の閉鎖が相次いでいる。2024年6月から半年間で、訪問介護事業所は579カ所減少し、事業所がゼロの自治体は10増の107町村となった。
例えば、長野県高山村では唯一の訪問介護事業所が閉鎖され、近隣自治体の事業所がサービスを担っているが、受け入れ人数の増加により限界が来ているという。このような状況は、介護サービスの空白地帯を生み出し、高齢者の生活に深刻な影響を及ぼしている。
都市部でも競争激化と人材不足が課題
都市部でも、訪問介護事業所の経営は厳しい状況にある。競争の激化や人材不足により、サービス提供が困難になっている事業所が増加している。また、訪問介護職員の高齢化も進んでおり、60代以上の職員の割合が高いことが報告されている。
このような状況下で、訪問介護サービスの質と量を維持するためには、報酬体系の見直しや人材確保策の強化が求められている。
田村貴昭議員、報酬引き上げと臨時改定を要請
日本共産党の田村貴昭衆議院議員は、2025年4月23日の衆院厚生労働委員会で、訪問介護報酬の引き下げが事業所の減収を招いているとして、報酬の臨時改定と抜本的な引き上げを強く求めた。田村氏は、特に中山間・離島地域の事業者の利益率が2023年8月からの1年間で4%前後下がり、経営が悪化していると指摘した。
また、田村氏は、多くの事業者が訪問先までの移動時間の長さを理由にサービス提供を断っている現状を挙げ、厚労省が地域特性に応じた事業所支援の必要性を認めながら、この課題に向き合わず問題を深刻化させたと批判した。さらに、介護報酬の臨時改定措置を取るよう迫った。
今後の対応と課題
厚労省は、訪問介護事業所の経営維持に向けて、「小規模事業所加算の要件弾力化」などの特別対策を実施する方針を示している。しかし、これらの対策が実効性を持つかどうかは不透明であり、現場からはさらなる支援を求める声が上がっている。
訪問介護サービスは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすために不可欠なものである。その持続可能性を確保するためには、報酬体系の見直しとともに、地域特性に応じた支援策の強化が急務である。
- 2024年度の介護報酬改定により、訪問介護事業所の約6割が減収。
- 中山間・離島地域では事業所の閉鎖が相次ぎ、介護サービスの空白地帯が拡大。
- 都市部でも競争激化や人材不足により、訪問介護事業所の経営が悪化。
- 田村貴昭議員が報酬の臨時改定と抜本的な引き上げを要請。
- 厚労省は特別対策を示すも、現場からはさらなる支援を求める声が上がっている。
訪問介護サービスの持続可能性を確保するためには、報酬体系の見直しと地域特性に応じた支援策の強化が求められている。