2025-05-22 コメント投稿する ▼
兵庫県がSNS中傷対策条例案 差別投稿に限定削除要請、問われる表現の自由との両立
SNS中傷と向き合う条例案
兵庫県、差別投稿に削除要請権 ただし表現の自由と県民感覚にズレも
差別的中傷に限定 条例案の骨子
兵庫県が新たに示したSNS誹謗中傷対策の条例案素案は、知事が投稿の削除を求められる権限を定めている。対象は人種や性別、障害などに関わる差別的な内容に限られ、明らかに差別に該当するものに絞って対応するという。
ただし、ネット上の名指し批判や侮辱、プライバシー侵害といった問題投稿は対象外となっており、被害者感情との乖離が懸念される。
背景には著名人の中傷死
この議論の背景には、昨年、ある元県議がSNS上で「黒幕」と書かれた投稿により中傷を受けた末に亡くなった件がある。さらに別の高官に関しても、私的な情報が晒され、激しい誹謗中傷が広がったという。
しかし、これらの投稿は差別には該当せず、条例案の削除要請対象には含まれない。つまり、深刻な中傷が起きても、法的に知事が介入できないケースがあるということだ。
表現の自由と規制のせめぎ合い
有識者会議でも意見は割れた。「名誉毀損やプライバシーの問題にこそ対応すべきだ」という声がある一方、「一線を超えれば言論統制につながりかねない」と懸念する識者もいる。
こうした意見を踏まえ、県は今後も議論を重ね、6月以降パブリックコメントを募集し、年度内の条例制定を目指す方針だ。
ネット上の声は複雑
この素案に対するネットユーザーの反応は、以下のように多様だ。
「差別だけじゃなくて、個人攻撃全般にも対応してほしい。線引きが難しいけど、救えない人が出るなら意味がない」
「言論の自由を守るのは重要だけど、誹謗中傷で人が死ぬ時代に、何もしないのもどうかと思う」
「知事が削除を要請するって、ちょっと怖くない? 政治家が言論に口出す構図にも見える」
「対象が差別限定ってことは、他の中傷は泣き寝入り? それだと実効性は低いのでは」
「差別発言の削除要請は賛成。ただ、誰がどこまで判断するのか基準が見えない」
表現の自由を守る視点を忘れずに
言葉の力が人を傷つけ、命を奪うことさえある時代に、社会として何ができるかが問われている。ただし、安易な規制は表現の自由を脅かすリスクをはらむ。大切なのは、過剰な統制と無防備な放置の間で、適切なバランスをどう取るかだろう。
兵庫県の条例案が今後どのように修正されるのか。多様な立場の声を真摯に受け止めながら、自由と安全の両立を目指す議論が求められる。