2025-02-19 コメント投稿する ▼
WHO神戸センター、2026年3月末で撤退 運営費負担の限界
WHO神戸センター、2026年3月末で撤退へ
世界保健機関(WHO)の日本唯一の直轄研究機関である「WHO神戸センター」が、2026年3月末をもって撤退することが18日、関係者への取材で明らかになった。震災後の1995年、兵庫県や神戸市、さらには地元経済界が中心となって神戸に誘致されたこのセンターは、国際的な研究活動を続けてきたが、運営費が地元に負担されている現状から、支援打ち切りの決定が下された。
支援の経緯と運営費
WHO神戸センターは、1996年に設立され、災害医療をはじめとしたさまざまな研究を行ってきた。設立当初から、県、市、そして経済界がその運営費を全額負担しており、これまでに約160億円が使われてきた。しかし、近年、支出に対する効果が疑問視されるようになり、県と市は支援打ち切りを決定した。
支援打ち切りの理由
特に問題視されていたのは、県が毎年支出する3億円という巨額な運営費だった。この額は、例えば不妊治療支援事業(約2億2千万円)を大きく上回っており、自治体の財政負担が重くのしかかっていた。また、物価高騰に伴い、国際機関への財政支援を続けることは難しいという判断もあった。
センターの活動成果
一方で、WHO神戸センターは、災害医療の研究指針作りや、認知症予防のための国際的な取り組みなど、一定の成果を上げてきた。センターの職員は、世界中での共同研究や学術論文発表などを通じて、国際社会に貢献してきた。また、神戸市はセンターの存在が「国際交流拠点としての街の魅力を高めた」と評価しており、地域にとっても一定の意義があったと言える。
今後の展望
とはいえ、運営費に見合う直接的な効果が県民には実感されにくかったという声もあり、支援を続ける難しさが浮き彫りになっていた。センターは2026年3月末までの活動を総括し、撤退の準備を進めることとなる。県は「研究成果は時間がたてば県民に還元される」としており、誘致当初の目的はほぼ達成されたと見ている。