2025-04-09 コメント投稿する ▼
黒字で1000人削減計画 ルネサスに300億支援、共産・辰巳氏が『労働者守れ』
「支援企業が指名解雇?」政府の責任を問う
辰巳氏が取り上げたのは、大手半導体企業のルネサスエレクトロニクス。実はこの会社、政府から2018年度以降だけでおよそ300億円もの支援を受けている。しかしその一方で、業績が黒字であるにもかかわらず、違法性の高い「指名解雇」を繰り返しているというのだ。
具体的には、あらかじめ会社側がリストラ対象者を選び、その人だけを解雇するという手法。これは一般的な整理解雇のルールからも逸脱している恐れがある。
リストラは着々と進行中
辰巳氏はさらに、同社の内部メールを独自に入手。その中には、2024年に全従業員の2.1%にあたる438人がリストラ対象となったことが記されていた。しかし実際に退職したのは329人にとどまり、これを受けてCEOは「複雑な思い」と述べ、「さらなる削減を計画せざるを得ない」と語っている。
なんとそのメールには、最終的に全従業員の5%、つまり約1000人の削減を目指すという方針まで書かれていた。
「黒字リストラ」に疑問の声
ところが、ルネサスは2023年に営業利益3907億円、営業利益率26.6%という立派な数字を叩き出している。いわば“絶好調”の企業だ。それにもかかわらず人員削減を進めている現状に、辰巳氏は「黒字リストラではないか」と厳しく批判。「こんな企業が国の支援対象でいいのか」と疑問を呈した。
経産相の答弁は…
これに対し、武藤容治経済産業相は「従業員がいきいきと働ける労働環境整備は大切」と述べるにとどまり、「状況をうかがうことも含めて対応する」と、やや踏み込んだ答弁を行った。
支援と人権の両立が課題に
辰巳氏が持ち出したのは、2011年に国連で全会一致で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」。ここでは「人権を保護する国家の義務」や「人権を尊重する企業の責任」が明確にされている。国が企業を支援するのであれば、その企業が労働者の権利を守っているかどうかをチェックする責任もあるのではないか。まさにその視点が、今の経済政策に欠けていると辰巳氏は指摘した。
今後どうなる?
半導体産業をめぐっては、政府が巨額の支援を打ち出す一方で、企業側の労務管理に対するチェック体制はまだ不十分だ。今回のルネサスの件が象徴するように、「成長産業支援」と「労働者保護」は決して二者択一ではないはずだ。むしろ両立させてこそ、持続可能な産業政策と言えるだろう。
- 辰巳孝太郎議員が、政府支援を受けるルネサスのリストラ実態を追及。
- 同社は「指名解雇」など違法性のあるリストラを実施しているとされる。
- 2018年度以降、同社に約300億円の政府支援が投じられている。
- 社内メールで、さらに1000人規模の削減計画が明らかに。
- 2023年の営業利益は約3900億円と黒字なのに「黒字リストラ」。
- 辰巳氏は「労働者を犠牲にする企業に税金を使うべきでない」と主張。
- 経産相は「企業から話を聞くなど対応する」と答弁。
- 国連の「ビジネスと人権指導原則」に照らしても問題があるとの指摘。
- 今後、支援企業に対する人権チェックが重要な課題となる。