2025-04-06 コメント投稿する ▼
リニア掘削がもたらす異変 春日井で地下水枯れ、住民が不安の声
こうした状況を受けて、日本共産党の本村伸子衆院議員が4月6日、現地を訪れ、住民の声を聞き取った。同行した伊藤建治春日井市議とともに、リニア工事が周辺の地下水に与える影響について調査を行った。
「池も井戸も枯れたのは初めて」住民が証言
明知町に住む男性はこう語る。「去年の3月に池の水が減って、夏場に少し戻ったけど、今年の2月には池も井戸も完全に枯れてしまった。こんなことは初めてだよ」。かつては家の生活用水としても使っていた井戸が使えなくなり、生活に支障が出ているという。
市民団体「水が噴き出さなくなった」
現地で活動する「春日井リニアを問う会」の川本正彦さんも、地下水の異変を訴える。「工事が始まってから、地下水が自然に湧かなくなって、水位がどんどん下がっているんです。このまま掘り進めば、さらに地下水脈がやられるかもしれない」と懸念を示した。
農業への影響も深刻化の恐れ
伊藤市議は、近くにある農業用水源「神屋地下堰堤」の水も枯れる可能性があると警鐘を鳴らす。「この地域の農業は地下水に支えられている。もしこの水源までダメになったら、農家の暮らしは立ちゆかなくなる」と語った。
6月から掘削本格化 空洞調査は十分か?
JR東海は6月から、春日井市内の坂下西工区でシールドマシンによる掘削工事を始める予定だ。ところがこの区間には、かつての亜炭鉱の採掘跡があり、地中には空洞が残っている可能性がある。伊藤市議は「空洞調査が不十分なまま掘り進めるのは危険」と指摘する。
本村議員「説明不足、不誠実」
本村議員は、住民に対してJR東海が科学的な根拠を示さず、説明も不十分であると批判した。「トンネルからの水の流出と井戸の水位低下が関係あるのか、きちんと調べるべき。事業者としての責任を果たすよう、しっかり追及していきたい」と話した。
他地域でも起きている“水枯れ”
実はこの水枯れの問題、春日井だけの話ではない。岐阜県瑞浪市の大湫町でも、2024年に14カ所の水源が一斉に枯れ、住民の生活に大きな影響を与えた。リニア工事の進行とともに、こうした“水の消失”が各地で報告されている。
見えてきた課題と求められる対応
リニア中央新幹線は国家的なプロジェクトだが、その裏で、生活の水を失った住民たちが声を上げている。事業者には、科学的根拠に基づいた丁寧な説明と、万が一の補償も含めた誠実な対応が求められる。
生活用水や農業用水の確保は、地域住民の暮らしに直結する問題だ。便利さやスピードの追求だけでなく、工事の進行と並行して「地域の声」に耳を傾ける姿勢が、いま何よりも問われている。