2025-04-04 コメント投稿する ▼
保育の質に懸念の声 児童福祉法改正案が衆院通過 3歳以上も小規模保育所対象に
今回の法改正をめぐっては、現場の保育士や専門家から「保育の質が後退しかねない」といった懸念の声も上がっている。
「質が下がるのでは」本村議員が指摘
日本共産党の本村伸子衆議院議員は、3日に開かれた地域・こども・デジタル特別委員会で、今回の法改正が保育の現場に与える影響について強く疑問を呈した。
本村氏は「小規模保育所はスペースも限られている。そこに3歳以上の子どもを受け入れるのは無理がある」と指摘。現在の保育所の認可基準を事実上緩和する形になり、結果として保育の質が落ちてしまうおそれがあると訴えた。
また、小規模保育所の約半数が非営利法人によって運営されており、認可保育所と比べると人件費の割合が低いことから、保育士の待遇が悪化しかねないという点にも懸念を示した。
保育士不足の根本解決に至らず
本村氏はさらに、今回の改正では1歳児に対する保育士の配置基準の改善が見送られたことも問題視。「賃金は他の産業よりも低い。処遇を改善し、配置基準を引き上げることでしか、保育士不足は解消できない」と語った。
政府は職員配置に対する加算制度を拡充する方針を示しているが、本村氏は「要件が厳しすぎて、現場では活用しにくい」と訴える。特に、1歳児の保育士を加配している施設が、確実に加算を受けられるような仕組みにすべきだと求めた。
政府側は慎重な姿勢
これに対し、三原じゅん子こども政策担当大臣は「加算措置での対応をまず進める」「加算のあり方については、取得状況を見ながら検討する」と述べるにとどまり、配置基準そのものの見直しには踏み込まなかった。
「公立保育園がつぶれる」との不安も
本村氏は、今回の法改正によって公立保育園の縮小が進み、小規模保育所がその代替になるのではないかという不安の声が、現場から上がっていることも紹介した。
「子ども一人ひとりの命と発達を保障するためにこそ、保育士を手厚く配置すべきだ」とし、量を増やすだけでなく、質の向上を図る政策が求められていると強調した。
虐待対応でも課題
また、改正案には、児童虐待が疑われるケースで保護者と一時保護された子どもとの面会を制限できるようにする規定も盛り込まれている。これについても本村氏は、「子どもの意見や権利がきちんと守られるよう、専門的な聴取を行える体制を整えるべきだ」と訴え、パートナー弁護士の配置など具体的な対応が必要だと指摘した。
今後の課題は「量」と「質」の両立
小規模保育所を拡充することで待機児童の解消を図る一方で、保育の質をどう保つのか。保育士の配置や処遇をどう改善していくのか。今回の法改正は、保育のあり方そのものを問い直す大きな転機となりそうだ。