2025-04-25 コメント投稿する ▼
学術会議解体法案に批判続出 塩川議員『学問の自由を否定』と追及
政府による学術会議への介入強化に懸念広がる
日本学術会議の組織形態を大幅に見直す法案について、衆議院内閣委員会で4月25日、審議が始まった。日本共産党の塩川鉄也議員は、現行制度が持つ学術の独立性を否定し、学問を政治・軍事に従属させる意図があるとして、法案の撤回を強く求めた。
今回提出された法案は、現行の「国の特別の機関」としての日本学術会議を廃止し、新たに政府出資の「特殊法人」とする内容を柱としている。首相任命の「監事」や外部者による「助言委員会」を設置し、政府が組織運営に介入できる余地を持たせた設計となっている。政府側を代表して答弁に立った坂井学内閣府特命担当相は「補助金投入に対する最低限の説明責任を確保しつつ、できる限り独立性を維持する」と説明した。
しかし、塩川議員はこれに強く反論。学術会議の独立性については、内閣府の有識者会議報告(2015年)も「現行法下でも十分に確保できる」と結論付けていたと指摘し、なぜ新法制定が必要なのか、その合理的説明がないと追及した。
さらに、新法案では現行法前文に記されていた「平和的復興と人類社会の福祉への貢献」という理念が削除されている。これについて塩川議員は「日本国憲法23条『学問の自由』の具体化として設立された学術会議の原点を踏みにじるものだ」と厳しく批判した。
1949年の学術会議発会式で、当時の吉田茂首相が「政治的干渉を排した高度な自主性」を強調していた歴史的背景にも言及。法案はこの基本理念を覆すものであり、現行法に存在する独立性保障の規定も削除されると指摘した。
学術会議は近年、防衛装備庁による軍事研究委託制度に対し「問題が多い」とする声明を出し、軍事研究への慎重姿勢を維持してきた。こうした立場に反発するかのように、菅義偉前首相は2020年、学術会議が推薦した新会員候補の任命を一部拒否した経緯がある。
塩川議員は「軍事研究を推進したい政権が、学問の自由を標榜し独立性を守ってきた学術会議に介入しようとしている」として、任命拒否問題と今回の法案はいずれも撤回すべきだと主張した。これに対して坂井担当相は明確な反論を示すことができなかった。
政府は今国会での法案成立を目指す構えだが、学問の自由を巡る議論は一層の激しさを増している。学術界や市民団体からも、独立性が損なわれれば学術研究の萎縮を招き、ひいては日本社会全体の自由や民主主義の根幹にも影響を及ぼしかねないとの懸念の声が相次いでいる。
- 学術会議を「国の特別機関」から「特殊法人」に移行させる法案が審議入り
- 首相任命の監事や外部助言委員会導入で政府介入の仕組みが組み込まれる
- 日本共産党・塩川議員は「学問の自由を否定し、軍事研究推進を狙うもの」と批判
- 2015年の有識者会議報告では「現行法で独立性確保可能」とされていた
- 学術会議の理念(平和・人類福祉への貢献)が法案では削除される