2025-04-18 コメント投稿する ▼
AIの軍事利用に歯止めを 共産・塩川氏が国会で警鐘 政府は「完全自律型は開発せず」
AI推進法案、衆院委で可決 軍事利用への懸念も
2025年4月18日、衆議院内閣委員会で「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案」(AI推進法案)が、自民、公明、立憲民主、日本維新の会などの賛成多数で可決された。日本共産党とれいわ新選組は反対した。同法案は、AI技術を「安全保障の観点から重要な技術」と位置づけており、軍事利用への懸念が浮上している。
日本共産党の塩川鉄也議員は、AIの軍事利用を禁止すべきだと主張した。塩川氏は、2023年12月に日米が次期戦闘機と連動する無人機のAI技術の共同研究に合意したことを指摘。三菱重工が公開した無人機のコンセプトでは、兵器を搭載可能としており、「戦闘機と連動する無人機は殺傷兵器そのものではないか」と質問した。防衛省の家護谷昌徳サイバーセキュリティ・情報化審議官は「現時点で性能は決まっていない」と答弁した。
また、塩川氏は、米空軍が2025年3月に史上初めて正式な型式名を与えた無人戦闘機が、AIによる「半自律」が特徴で、人によるおおまかな指示のもと、攻撃対象などをAIが決めると指摘。「このようなAIを日米で共同開発することは、憲法9条を持つ日本として断じて認めることはできない」として、「殺傷兵器にAIを使用するのは禁止すべきだ」と主張した。
城内実内閣府特命担当相は「わが国は完全自律型の致死兵器を開発する意思はない」と答弁。塩川氏は「完全自律か半自律かを問わず、AIの軍事利用は行わないと明確にすべきだ」と主張した。
政府の立場と国際的な動向
政府は、完全自律型の致死性兵器の開発を行わない方針を明確にしている。外務省は、2024年6月に公表した文書で、「人間の関与が及ばない完全自律型の致死性を有する兵器システム」について、「開発する意図はない」とし、「開発、使用は国際的にも認められるべきではない」との見解を示している。
一方で、政府は「人間の関与が確保された自律性を有する兵器システム」については、ヒューマンエラーの減少や省力化・省人化といった安全保障上の意義があると考えている。そのため、完全自律型の兵器は否定しつつも、一定の自律性を持つ兵器システムの開発・運用には前向きな姿勢を示している。
国際的には、2023年12月に国連総会で自律型致死兵器システム(LAWS)に関する決議が採択され、AI兵器にも国際人道法など既存の国際法が適用されることが確認された。また、2023年2月にはオランダで「軍事領域における責任あるAI利用(REAIM)」サミットが開催され、AIの軍事利用に関する国際的なルール作りが進められている。
今後の課題
AI技術の進展に伴い、軍事利用の可能性が高まっている。政府は、完全自律型の致死性兵器の開発を否定しているが、一定の自律性を持つ兵器システムの開発・運用には前向きな姿勢を示しており、今後の動向が注目される。また、国際的なルール作りも進められており、日本としても積極的に関与していく必要がある。
AIの軍事利用に関する議論は、倫理的・法的な課題を含んでおり、慎重な対応が求められる。今後も、国会や国際社会での議論を注視していく必要がある。