2025-04-08 コメント投稿する ▼
「通信の秘密を侵す違憲立法」――塩川議員が能動的サイバー防御法案に反対討論
「通信の秘密」を侵害する憲法違反の懸念
塩川氏は、法案が送受信者の同意なく政府が電気通信設備から通信情報をコピーし、基幹インフラ事業者や民間事業者と協定を結ぶことで、利用者情報を収集できる点を問題視した。政府は、IPアドレスや指令情報などの「機械的情報」も「通信の秘密」の対象であることを認めており、恣意的な情報選別が行われる懸念があると指摘した。さらに、収集された情報が外国政府など第三者に提供される可能性があり、個人情報保護の原則を無視するものであると批判した。
自衛隊と警察による先制攻撃の危険性
塩川氏は、自衛隊と警察が海外の機器に侵入し、監視し、使用不能にする「アクセス・無害化措置」を行うことが、相手国から主権侵害と受け取られる危険性を指摘した。政府は国際法上の緊急避難によって違法性を阻却できると主張しているが、これは国際社会の共通認識ではなく、相手国の同意なく疑いだけで措置を行えば、国際法違反の先制攻撃と評価される可能性があると述べた。
米軍との連携による戦争リスクの増大
政府は、自衛隊による「アクセス・無害化措置」を、グレーゾーン事態や重要影響事態で、米軍が軍事行動を行う相手国のサーバーに対して発動できると認めている。塩川氏は、日本が武力攻撃を受けていない状況で、米国と交戦状態にある相手国に先制的に「アクセス・無害化措置」を行えば、日本が参戦したとみなされ、憲法9条を踏みにじり、日本に戦争の危険を呼び込むものだと批判した。
警察権限の拡大と人権侵害の懸念
塩川氏は、警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使に踏み込むことが、他国の領域主権を侵害し、警察のあり方を根底から覆すと指摘した。また、裁判所の令状もなく、第三者機関の承認でこれを容認することは、令状主義を形骸化させ、警察の権限拡大を招くと懸念を示した。
これらの理由から、塩川氏は「能動的サイバー防御」法案が憲法および国際法に違反し、国民の基本的人権を侵害するものであるとして、強く反対の意を表明した。