2025-03-18 コメント投稿する ▼
能動的サイバー防御法案に対する懸念と議論—塩川鉄也議員が指摘するプライバシー侵害と国際リスク
塩川鉄也議員の質疑
3月18日の衆議院本会議で、日本共産党の塩川鉄也議員がこの法案について政府を追及した。彼の指摘は以下の通りだ。
■通信の秘密とプライバシー権の侵害
法案では、政府が送受信者の同意なしに通信情報をコピーできるとされている。政府は「国内同士の通信は対象外」と説明するが、現代のインターネット通信の多くは海外のサーバーを経由するため、事実上、多くの国民の通信情報が政府の監視下に置かれることになる。さらに、取得した情報には個人情報が含まれる可能性があり、外国政府や第三者に提供されることも想定される。個人情報保護の原則を無視するのではないかと懸念が示された。
■インフラ事業者への協力要請の強制性
法案では、インフラ事業者に通信情報を政府へ提供する協定を結ばせることになっている。事業者には協議に応じる「義務」が課されており、実質的に強制ではないかとの指摘があった。
■外国との情報共有と国際関係への影響
日本と米国はサイバー攻撃に関する情報を共有する枠組みを持っており、今回の法案がそれを強化するものだとみられている。しかし、日本が外国のサーバーに無断で侵入し、機器を無力化すれば、国際的には「違法な先制攻撃」と見なされかねない。政府はこうしたリスクをどう考えているのか、塩川議員は問いただした。
■自衛隊の関与と軍事リスク
サイバー攻撃への対応として、自衛隊に通信防護措置を命じることが可能になるが、これが事態を悪化させ、武力衝突に発展する危険はないのか。特に、安保法制のもとで、米軍が軍事行動を起こした際に日本が無害化措置をとれば、結果的に日本が戦争の口火を切ることになるのではないかと懸念が示された。さらに、自衛隊が在日米軍のサイバー防御を担う仕組みについても、「事実上、米軍の指揮下で自衛隊が動くことになるのではないか」と問題提起した。
法案に対する各界の反応
日本弁護士連合会は3月12日に「能動的サイバー防御法案に対する意見書」を発表し、「国民の基本的人権を侵害する可能性がある」として、慎重な審議を求めている。一方、政府は「サイバー攻撃の脅威が増す中、安全保障のために不可欠な措置」と主張し、法案の必要性を訴えている。しかし、国民の権利とのバランスをどう取るかについては、まだ多くの課題が残されている。