2026-03-20 コメント投稿する ▼
観光庁が二重価格ガイドライン策定へ 姫路城2500円先行、有識者検討会で留意点整理
インバウンド(訪日外国人客)の急増を背景に、観光施設などで住民以外の料金を地元住民より高く設定する「二重価格」をめぐる議論が全国で広がっています。 こうした動きを受け、観光庁が有識者による検討会を立ち上げる方針であることが2026年3月19日に明らかになりました。
インバウンド急増で全国に広がる二重価格、観光庁がガイドライン策定へ
インバウンド(訪日外国人客)の急増を背景に、観光施設などで住民以外の料金を地元住民より高く設定する「二重価格」をめぐる議論が全国で広がっています。こうした動きを受け、観光庁が有識者による検討会を立ち上げる方針であることが2026年3月19日に明らかになりました。検討会では自治体の参考となるよう先行事例から得られた留意点を整理し、観光庁は2026年度にもガイドラインを策定する予定です。
金子恭之国土交通相は2026年3月3日の閣議後記者会見で、国内外のオーバーツーリズム対策や料金設定の事例を踏まえてガイドライン策定に取り組む考えを示しました。二重価格については「施設の管理者が個別の事情や地域住民への配慮をもとに判断するのが基本」とした上で、観光庁が国としての統一見解を示すことを目指すと述べました。
姫路城2500円・京都バスも、先行事例が続々
二重価格には、観光施設や公共交通機関の維持管理費を確保したり、特定の場所や時間帯に観光客が集中するオーバーツーリズムへの対策を講じたりする狙いがあります。現時点では、国籍ではなく「市民かどうか」という居住区分に基づいて料金を設定するのが主流で、外国人のみを対象とした制度は法的・実務的な課題が多いとされています。
兵庫県姫路市は2026年3月1日、世界遺産・姫路城の入城料について、市民は1000円を据え置きつつ、市民以外を2500円に引き上げました。姫路市によると、今後10年間で必要となる維持管理費・修復費は約280億円に上り、国や県の補助金を除いた約210億円を入場料収入で賄う計画です。一方、京都市は2026年2月、市中心部の市営バス運賃について市民と市民以外の料金を分ける方針を表明し、2027年度中の実現を目指しています。こうした動きは全国に広がっており、東京を中心とする国立施設11館でも、訪日外国人向けに現行料金の2〜3倍に相当する二重価格導入の検討が進んでいます。
「姫路城の維持費を考えたら、観光客が多く払うのは当然だと思う。観光地を守るためにも必要なことでしょ」
「外国人だけ高くしたら差別になるから、市民かどうかで分けるのが現実的だよね」
「旅行者として正直複雑。でも地元の人が使い続けられる環境があってこそ、文化が守られるとも思う」
「ガイドラインができても結局は自治体次第でしょ。統一見解があるだけでも前進ではあるけど」
「インバウンドが増えて地元民がバスに乗れない状況って、本末転倒だと思う。対策は急務」
価格差への「納得感」がカギ、反発リスクも
ただ、価格差を設けることで住民以外の利用者から反発を招く可能性もあります。二重価格が有効に機能するためには、価格差を設ける「目的への理解」が不可欠です。「なぜ価格が違うのか」という納得感を利用者に丁寧に伝える仕組みをどう作るかが、導入の成否を分けます。観光庁はガイドラインでこうした注意点も明確に指摘したい考えです。
二重価格論議の背景には、インバウンドの急拡大があります。2025年の訪日外国人旅行者数は過去最高の約4268万人に達し、旅行消費額も約9兆4559億円と過去最高を更新しました。政府は2030年までに訪日客6000万人・消費額15兆円を目標に掲げており、インバウンドはすでに自動車に次ぐ第2位の外貨獲得産業へと成長しています。一方で、人気観光地での混雑や地域住民の生活への影響も深刻化しており、「稼げる観光」と「住みやすい地域」をどう両立させるかが問われています。
閣議決定を受け4月以降に本格化、持続可能な観光の実現へ
政府が2026年3月中に閣議決定する予定の次期観光立国推進基本計画でも、二重価格について「持続可能な観光の実現を図るため、公的施設などの料金設定に関するガイドラインの策定を検討する」と明記する方針です。閣議決定を受け、観光庁は2026年4月以降に策定作業を本格化させます。観光地の持続可能性を守りながら、どのように公平で合理的な料金体系を設計できるかが、これからの日本の観光政策の大きな課題となります。