2026-02-09 コメント投稿する ▼
JICAがカンボジア上水道に2.6億円支援
第四に、上水道マスタープランの策定です。 今回のシェムリアップ上水道マスタープラン策定支援においても、以下のようなKPI・KGIの設定が求められます。 今回のシェムリアップ上水道マスタープラン策定支援についても、策定後の実行を担保する仕組みが必要です。
JICAがカンボジア上水道に2.6億円支援、KPI・KGI設定と成果検証の徹底を
国際協力機構、JICAは、カンボジア王国のシェムリアップ市における上水道マスタープラン策定を支援するため、2.6億円の事業費をかけて開発計画調査型技術協力を実施することを明らかにしました。2月6日、シェムリアップ市で、カンボジア政府との間で討議議事録に署名しました。事業実施期間は2026年5月から2028年4月までの24か月間を予定しています。世界遺産アンコール遺跡を擁する観光都市の水道整備計画の策定を支援しますが、税金を使う以上、明確なKPI・KGIの設定と成果検証が不可欠です。
カンボジアの上水道普及率は29.13パーセントにとどまる
JICAの見解によると、カンボジアは、上水道セクターに関して、2030年までに100パーセントの普及率を目指すため、水道マスタープランの策定と実行を進めることを明記し、水分野を5つの主要優先項目の1つに位置付けています。
しかし、安全に管理された飲料水へのアクセス率は、2022年時点で29.13パーセントにとどまっており、都市部においても57.50パーセントに過ぎない状況でした。特にシェムリアップ市では、ライセンスを付与されている地域に対する水道普及率は59パーセントと低く、新しい国際空港の開港など開発も進んでいるため、水道の拡張が急務となっています。
カンボジアでは1990年代初頭まで続いた内戦により、上水道施設が破壊されたまま十分な維持管理が行われず、状況は極度に悪化していました。人口の増加に給水量は追いつかず、未給水人口が増加しており、また、水道施設の老朽化により、水質も世界保健機関のガイドライン値を満たしていませんでした。
シェムリアップ市の水道事情と課題
シェムリアップ市は、アンコールワット遺跡群の南約5キロメートルに位置し、観光産業を中心とした都市であり、観光セクターがGDPの12パーセントを占めるカンボジアにとって重要な都市です。人口増加に加え、年間約55万人、2002年時点に上る観光客を受け入れており、急増する水需要に対応する必要があります。
シェムリアップ水道公社、SRWSAは、2023年に円借款によるトンレサップ湖を水源とする6万立方メートル毎日の浄水場の運転を開始しました。しかし、ライセンスを付与されている地域に対する水道普及率は59パーセントと低く、新しい国際空港の開港など開発も進んでいるため、水道の拡張が急務となっています。
また、2030年頃には水需要が供給能力を上回ると予測されており、財務・経営の改善も必要となっています。現状の供給能力では、将来の需要に対応できない見込みです。
2.6億円の事業内容と実施期間
今回実施する事業は、シェムリアップ水道公社の給水区域において、以下の支援を行うものです。
第一に、既存上水道施設の現状分析です。現在の浄水場や配水管網の状況を詳細に調査し、課題を洗い出します。
第二に、水需要予測です。人口増加や観光客増加を踏まえて、2050年までの水需要を予測します。
第三に、施設計画の検討です。水需要予測に基づいて、必要な浄水場の規模や配水管網の拡張計画を策定します。気候変動対策計画、DX推進計画、サステナビリティ推進計画、運転維持管理計画、財務計画、事業費概算、投資計画なども含まれます。
第四に、上水道マスタープランの策定です。2050年までの水道整備の基本計画を策定します。
第五に、優先プロジェクトのフィージビリティ・スタディです。マスタープランの中で優先度の高いプロジェクトについて、実現可能性を詳細に調査します。
総事業費は2.6億円で、事業実施期間は2026年5月から2028年4月までの24か月間を予定しています。実施機関はシェムリアップ水道公社です。
「カンボジアの水道普及率向上は重要だ」
「観光都市の水不足は経済に影響する」
「でもKPI・KGIの設定と成果検証はあるの?」
「2.6億円使うなら測定可能な目標が必要だ」
「マスタープラン策定後の実行が鍵だ」
KPI・KGI設定と成果検証が不可欠
高市政権は、外国支援に対して厳格な成果管理を求める方針を打ち出しています。税金を使う以上、明確なKPI、重要業績評価指標とKGI、重要目標達成指標の設定が必要です。
今回のシェムリアップ上水道マスタープラン策定支援においても、以下のようなKPI・KGIの設定が求められます。
KGI、最終目標としては、2030年までの水道普及率目標、例えばライセンス地域内で80パーセント以上、2050年までの水道普及率目標、例えばライセンス地域内で100パーセント、安全に管理された飲料水へのアクセス率の向上、例えば2030年までに都市部で80パーセント以上、などが考えられます。
KPI、中間指標としては、マスタープランの策定完了、例えば2028年4月までに策定、優先プロジェクトのフィージビリティ・スタディ完了、例えば2028年4月までに完了、カンボジア国内の他の水道公社に対するセミナー開催回数、例えば目標5回以上、職員育成プログラムの実施、例えば研修受講者数100人以上、などが考えられます。
そして、定期的な報告義務が必要です。JICAからは、支援の進捗状況、予算の執行状況、課題と対策などについて、外務省に報告する義務を課すべきです。
マスタープラン策定後の実行が鍵
マスタープランを策定しても、それが実行されなければ意味がありません。過去のODA案件でも、計画だけ作って実行されない、あるいは実行されても維持管理が不十分で施設が荒廃するというケースが多数報告されています。
今回のシェムリアップ上水道マスタープラン策定支援についても、策定後の実行を担保する仕組みが必要です。具体的には、以下の点が重要です。
第一に、カンボジア政府のコミットメントです。マスタープランに基づいて、実際に予算を確保し、プロジェクトを実行する意思と能力があるのか、事前に確認すべきです。
第二に、財務計画の実現可能性です。マスタープランに含まれる財務計画が、カンボジア政府の財政状況を踏まえて実現可能なものか、慎重に検証すべきです。
第三に、人材育成の継続です。施設を運営・維持管理する人材の育成が継続的に行われるよう、仕組みを整えるべきです。
第四に、フォローアップの実施です。マスタープラン策定後も、定期的にフォローアップを行い、実行状況をモニタリングすべきです。
日本企業の進出機会としての側面
JICAは、シェムリアップの水道では浄水処理設備などにおいて多くの本邦企業の技術・製品が活用されており、本事業はさらなる本邦企業の進出につながることが期待されると説明しています。
確かに、日本の水道技術は世界トップレベルであり、カンボジアのような途上国にとっては有用です。マスタープランに基づいて、実際にプロジェクトが実行される際には、日本企業が受注する機会が増えることが期待されます。
しかし、ODAは日本企業の商売のためではなく、相手国の発展のためであるべきです。日本企業の進出は副次的な効果として期待できますが、本来の目的は、カンボジア国民が安全で安定的な水道サービスにアクセスできるようにすることです。
この点を見失わないよう、KPI・KGIの設定においても、カンボジア国民の生活改善に直結する指標を重視すべきです。
過去のJICAカンボジア支援の教訓
JICAは、1993年から首都・プノンペンの水道インフラを整備するマスタープランを作成する支援を行いました。それを基に、引き続き1994年から2006年にかけてプノンペン水道公社に対して、施設整備と人材育成に関する国際協力を行いました。
この支援は、のちに「プノンペンの奇跡」とも称えられ、大きな成功を収めました。主に漏水によって料金を徴収できない割合を示す無収水率は、支援開始当初は72パーセントの高さでしたが、2010年にはわずか6パーセントにまで下がりました。
この成功の要因は、施設整備だけでなく、人材育成と組織強化を同時に行ったことにあります。北九州市が職員を派遣し、漏水防止技術や水道経営のノウハウを伝えました。
今回のシェムリアップ上水道マスタープラン策定支援でも、プノンペンの成功例を参考に、施設計画だけでなく、人材育成計画や組織強化策も含めて、総合的なマスタープランを策定すべきです。
SDGsへの貢献とその検証
JICAは、本事業がSDGs、持続可能な開発目標のゴール3、すべての人に健康と福祉を、ゴール6、安全な水とトイレを世界中に、ゴール11、住み続けられるまちづくりを、に貢献するとしています。
確かに、安全な水へのアクセスは、SDGsの重要な目標です。しかし、SDGsへの貢献を謳うだけでなく、実際にどれだけ貢献したかを測定・検証する必要があります。
そのためには、KPI・KGIを設定し、定期的に進捗をモニタリングし、最終的に成果を評価するというサイクルを回すことが不可欠です。単にマスタープランを策定しただけで満足するのではなく、それが実行され、カンボジア国民の生活が実際に改善されたかどうかを検証すべきです。
高市政権には、外国支援の透明性を高め、国民への説明責任を果たすことが求められています。JICAのカンボジア上水道支援についても、その成果をしっかりと検証し、国民に報告してほしいものです。