2025-11-07 コメント投稿する ▼
茂木外相がエチオピア水支援に3.7億円投入、JICA技術協力で人材育成強化
エチオピアでは安全な水へのアクセス率が76.3%に留まり、水因性疾患による子どもの死亡が深刻化している現状に対し、日本の技術力による支援が期待されている。 JICAは専門家派遣、研修員受け入れ、給水施設修繕用機材の供与を通じて、エチオピアの水分野における人材育成を支援する。
茂木敏充外務大臣が管轄する国際協力機構(JICA)は、エチオピア連邦民主共和国の給水サービス向上を目指し、日本側が約3.7億円の総事業費を投じる技術協力プロジェクトを2025年10月31日に正式決定した。エチオピアでは安全な水へのアクセス率が76.3%に留まり、水因性疾患による子どもの死亡が深刻化している現状に対し、日本の技術力による支援が期待されている。
深刻化するエチオピアの水不足問題
エチオピアは世界で最も給水率が低い国の一つとして知られており、特に地方部では約20%の住民しか安全な水にアクセスできない状況が続いている。同国では水因性疾患による5歳未満児の死亡率が8%を占め、水汲み作業の63%を15歳以上の女性が担うことで女性の就学・就労が阻害されている実態がある。
2020年頃から続く深刻な干ばつにより、「アフリカの角」地域では過去40年で最悪の水不足が発生している。エチオピアのオロミア州とソマリ州では約440万人が深刻な水不足に直面し、15万5,000人以上の子どもが水汲みのために学校を中途退学する事態となっている。
日本の技術協力で組織力強化
今回のプロジェクトは2026年4月から2030年3月まで48カ月間実施される予定で、エチオピア水技術機構(EWTI)の組織運営能力強化が主な目的となる。JICAは専門家派遣、研修員受け入れ、給水施設修繕用機材の供与を通じて、エチオピアの水分野における人材育成を支援する。
具体的な支援内容は、北部地域の給水施設修繕用機材、掘削機のメンテナンス機材、オンライン動画撮影スタジオ機材の供与に加え、第三国研修としてウガンダでの研修プログラムも実施される。エチオピア側は施設の提供、人件費、機材の維持管理費用を負担する仕組みとなっている。
国益と人道支援のバランス重視
海外援助における国益説明は近年重要性を増しており、今回の支援についても明確な国益の説明が求められる状況にある。ポピュリズム外交への批判が高まる中、援助の効果や日本への長期的なメリットを国民に示すことが不可欠となっている。
茂木外務大臣の外務省が実施する今回の支援は、日本の高い技術力を活用してエチオピアの水問題解決に貢献する一方で、将来的な経済協力や外交関係強化にもつながる戦略的な側面を持つ。JICAによる過去の支援実績では、日本の無償資金協力で建設した給水施設の適切な維持管理と成果の持続性向上が確認されている。
長期的な効果と期待
エチオピアではミレニアム開発目標(MDGs)の安全な水へのアクセス率57%は達成したものの、依然として世界最低水準にある。今回の技術協力により、EWTIの研修及び技術サービス提供能力が向上し、エチオピア全土の給水サービス向上に波及効果が期待される。
プロジェクトは国連の持続可能な開発目標(SDGs)のゴール6「安全な水とトイレを世界中に」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」、ゴール16「平和と公正をすべての人に」の達成にも貢献する。日本の技術協力により、エチオピアの水因性疾患減少と女性の就学・就労環境改善が実現すれば、同国の持続的発展に大きく寄与することになる。