2025-08-22 コメント投稿する ▼
石破茂首相「日本の利益だけ考えてはならない」 アフリカ新経済圏構想に国民への説明責任も
石破首相、アフリカと新経済圏構想を提唱
第9回アフリカ開発会議(TICAD)が22日に閉幕した。石破茂首相は会議で「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」と名付けた新しい経済圏構想を打ち出し、アフリカとの協力強化を通じて日本企業の投資拡大を促す方針を示した。政府はこの構想を「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の理念に基づくものと位置づけ、中国が掲げる「一帯一路」との対抗軸を意識した動きとみられる。
石破首相は会議後の記者会見で「アフリカは人口が増加し、成長が見込まれる資源大陸だ。優秀な人材も多い」と強調。採択された「横浜宣言」では、インド太平洋を含む他地域との連結性を重視し、FOIPについても「好意的に留意する」と明記された。また、「法の支配」をアフリカの持続的な開発や平和の基盤として掲げ、日本の理念を前面に出した。
「中国依存が強いアフリカで日本がどう存在感を出せるか注目」
「日本の利益だけじゃなく共に成長する姿勢は評価できる」
「結局は中国と支援合戦になるのでは」
「日本らしい誠実な外交を貫いてほしい」
「支援が単なるポピュリズム外交にならないことを祈る」
日本と中国のアフリカ戦略の違い
アフリカは豊富な資源と拡大する市場規模を背景に、各国が進出を強めている。中国は「一帯一路」を通じて巨額のインフラ投資を進め、多くのアフリカ諸国が経済的に中国に依存している。これに対し、日本は「共創」の姿勢を掲げ、現地の人材育成や制度づくりを重視する点で差別化を図ろうとしている。
今回示された支援には、ケニアのモンバサ港、モザンビークのナカラ港、マダガスカルのトアマシナ港といった重要港湾の開発、さらにはナイジェリアでの起業家支援施設整備などが含まれている。インフラのみならず教育・人材育成にも重点を置き、長期的なパートナーシップを築くことが狙いだ。
「誠実で謙虚に」首相の強調
石破首相は会見で、支援の差別化を問う質問に対し「日本の利益だけ考えてはいけない。誠実で謙虚に取り組み、アフリカの利益が結果として日本の利益につながる循環を築きたい」と述べた。単なる経済進出ではなく、現地社会に根付く持続可能な関係を目指す姿勢を強調した。
ただし、同時に指摘されるのは「日本の利益とは具体的に何なのか」という国民への説明不足である。外交・援助政策は国益に資することが前提だが、その中身を明示せずに「相手のため」とだけ強調すれば、支援が単なるパフォーマンスや「ポピュリズム外交」と見られ、不信感を招きかねない。国民に対して援助の成果や狙いを明確に示すことは、政府の責任である。
今後の展望と課題
日本は長年、TICADを通じてアフリカ開発支援を主導してきた。1993年に始まったこの枠組みは国際社会でも高い評価を得ているが、中国やロシア、中東諸国の影響力が強まる中で、日本の存在感は相対的に薄れてきた。
石破政権下で提唱された「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」がどこまで具体化し、企業の進出や資源確保、外交的信頼構築につながるかが今後の焦点となる。援助が「一方的な施し」ではなく「互いに利益を享受する共創」であることを示し、さらに国民に対して「日本の利益」が何かをきちんと説明することが、支持と信頼を確保するために欠かせない。