2025-08-09 コメント投稿する ▼
「一律2万円」給付、公約は実現困難に 自民大敗で霧散、減税論に押される石破政権
「一律2万円」給付、実現は困難に 自民大敗で公約は霧散の危機
石破茂首相率いる自民党が参院選で大敗し、衆参両院で少数与党に転落したことで、政府・与党が掲げた「全国民一律2万円給付」(一部4万円)の実現が極めて難しくなっている。最大で4人家族16万円というインパクトある政策だったが、補正予算成立の道筋は消え、事実上“公約倒れ”の様相を呈してきた。
与党はマイナンバーカードを活用し、自治体を介さず国が直接給付する方式を打ち出していた。石破首相も選挙期間中、「年内開始は当然」「速さが命」と繰り返し明言。しかし与党で過半数を割った今、野党の協力なくして予算は通らず、首相周辺も「現実的には難しい」と認める状況だ。
「公約を破った形になる」
「計画の甘さが露呈した」
「野党の減税論に押されただけ」
「結局、選挙向けのバラマキだったのでは」
「国民を期待させて落胆させる政治は不信を招く」
世論も冷ややか、政策効果も疑問視
給付策は当初から国民の反応が芳しくなかった。6月の世論調査では「反対」が54.9%、「賛成」は41.2%。別の調査では「評価しない」が66%に上り、「選挙目当てのバラマキ」との批判が目立った。こうした背景もあり、与党内には“撤退やむなし”との空気が広がっている。
経済アナリストの佐藤健太氏は「給付は即効性があるが持続性がない。一方、野党の減税公約も財源論が曖昧で、双方とも実現性に疑問符がつく。結果的に国民にとって最悪の展開だ」と指摘する。
野党は減税で攻勢、与党は防戦
今回の参院選で、野党各党は一律給付ではなく減税を前面に打ち出した。立憲民主党、日本維新の会は「食料品消費税ゼロ」(2年)を公約に掲げ、国民民主党と共産党は消費税率5%への引き下げを主張。れいわ新選組や参政党は消費税廃止まで踏み込んだ。
これらは世論の一定の支持を得たが、財源案は各党でバラバラだ。赤字国債発行や大企業増税、政府基金の取り崩しなど手法は様々で、恒久的減税の裏付けとしては不十分との見方もある。それでも選挙結果を見る限り、「減税」が国民の声として浮き彫りになった。
ガソリン減税先行で給付は後回しに
臨時国会では、ガソリン税の暫定税率廃止が与野党で協議され、成立の可能性が高い。これにより1世帯あたり年間約1万円の負担軽減が見込まれるが、給付金と比べれば規模は小さい。さらに税収減によって、現金給付の財源確保は一層困難になる。
国民民主の玉木雄一郎代表は所得税減税を提案し、参政党の神谷宗幣代表は「減税で経済を回す」と訴えるなど、野党は減税路線を加速。一方で与党は、消費減税には慎重な姿勢を崩さず、物価高対策の方向性も定まらない。
国民の信頼を損なう“言いっぱなし”政治
石破政権が参院選で掲げた給付策は、多くの家庭が「うちはいくらもらえる」と試算するほどのインパクトがあった。それだけに、実現が見込めない現状は国民の失望を深めている。野党の減税公約も実行の見通しは立たず、結局「できない理由」だけが積み上がる構図だ。
政治が国民との約束を守れないなら、不信は必然的に高まる。与党も野党も、言葉だけではなく実行力を伴った政策で信頼を取り戻すことが求められている。