2025-08-05 コメント投稿する ▼
石破首相「なめられてたまるか」発言を釈明 関税交渉の「最小限のダメージ」評価に国民との温度差
石破首相「なめられてたまるか」発言を釈明 日米関税交渉の評価に温度差
5日の参院予算委員会で、石破茂首相が参院選中の発言について説明を求められた。立憲民主党の徳永エリ議員は、トランプ米政権との関税交渉を巡り、選挙期間中に石破首相が発した「なめられてたまるか」という言葉の真意を質問。首相は「選挙中なのでいろいろな表現は使った」と述べ、有権者への強いメッセージとしての意図を明らかにした。
「勝ち負け」ではなく「双方の利益」
関税合意について石破首相は、「自動車産業に与えるダメージは最小限に抑えられた」と自負。その上で、日本製鉄による米国鉄鋼大手USスチール買収を例に挙げ、「日本の技術力と米国の労働力、市場を生かし、双方に利益となる日米関係を築くべきだ」と強調した。
また、「守るべきは守る」と述べ、自動車産業の雇用や農業者の生業を挙げたうえで、「今後は新しい市場を日米で開拓することが重要だ」と発言。「勝ち負けを言うのはこれから控えたい。不毛な議論になる」として、対米交渉で感情的な構図を避ける姿勢を示した。
国民との認識の差
しかし、首相が述べた「ダメージは最小限」という評価には、国民との間に大きな温度差がある。多くの業界関係者や労働者からは、合意によって中長期的に雇用や産業競争力が損なわれる懸念が示されている。首相の「最小限」という判断基準が、企業収益や国際的な交渉成果に重きを置いたものである一方、国民が想定する「最小限」とは、生活や地域経済への影響をほとんど感じないレベルを意味する。
この認識の乖離は、政府の説明不足や数値的根拠の欠如によってさらに広がりつつある。実際、関税負担による価格上昇や輸出入の減少は、消費者や中小企業にじわじわと影響しているという指摘も少なくない。
「政府の最小限は庶民の最小限とは違う」
「業界団体の意見ばかりで国民生活の視点が欠けている」
「長期的には雇用や賃金に響くのでは」
「強気な発言より具体的な数字で説明してほしい」
「守るべきは守る、その中に国民生活も入っているのか」
こうした声はSNS上でも目立ち、国益の評価基準そのものが問われている。
選挙中の強気発言と外交の現実
石破首相は7月9日、千葉県船橋市での参院選街頭演説で、関税交渉を「国益をかけた戦い」と位置づけ、「なめられてたまるか。たとえ同盟国であっても正々堂々と言わなければならない」と訴えた。この発言は国内では「毅然とした交渉姿勢」として評価する声もあったが、外交の現場では「感情的な表現は慎重にすべき」との見方もある。
今回の釈明は、国内向けの選挙戦術と、外交現場での現実的対応とのバランスの難しさを浮き彫りにした。国民が求めるのは、耳障りの良いスローガンだけでなく、生活への影響を正確に示す数字と、その影響を最小限に抑えるための具体的政策だ。