2025-06-27 コメント: 1件 ▼
特定秘密48件すべて「適正」 2024年の政府検証報告、漏洩なしと発表 防衛省が過半数
特定秘密の指定、すべて「適正」と政府が判断
2024年の48件、漏えい報告なし 防衛・警察関連が大半占める
全件「適正」判断、情報漏えいも確認されず
政府は6月27日、2024年中に特定秘密保護法に基づいて指定された全48件の情報について、「いずれも適正な手続きに基づいて指定された」とする検証結果の報告書を公表した。報告書は、内閣府の藤本治彦・独立公文書管理監が、首相官邸で石破茂首相に直接報告した。
特定秘密に指定された情報は、防衛や外交、スパイ活動の防止、テロ防止などに関するもので、今回の48件の内訳は、防衛省が26件、内閣官房が11件、警察庁が5件、外務省や公安調査庁などが残りを占める構成となっている。
報告書では、防衛省が扱う情報について「漏洩があったのでは」との通報が1件あったものの、必要な調査を実施した結果、「漏えいは確認されなかった」とされ、政府としては一連の特定秘密の運用が適正だったと結論づけた。
「毎年“問題なし”って、本当にちゃんと検証してるの?」
「情報漏えいがないのはいいことだけど、自己申告じゃ信じられない」
「防衛省が半数以上って、それだけ敏感な内容が多いのか」
「特定秘密って国民が知る術ないのに、透明性はどう担保してるの?」
「公開の範囲が狭すぎて、報告されても実感がわかない」
特定秘密保護法の制度運用に引き続き課題も
特定秘密保護法は2014年に施行され、政府が国家の安全保障に関わる情報を一定期間「特定秘密」として指定し、情報公開を制限できる制度だ。その一方で、指定の妥当性や情報の恣意的な隠蔽につながるリスクがかねてより指摘されており、制度運用の「透明性」と「歯止め」に対する国民の不安は根強い。
今回の報告書では「全件適正」とされたが、その根拠となる調査内容や評価基準の詳細は公開されておらず、第三者的なチェック機能がどこまで機能しているのかは依然として不透明だ。
また、情報の秘匿が適正である一方で、情報公開制度とのバランスがどう取られているのか、国民の知る権利との折り合いをどうつけるのかについても、明確な議論は進んでいない。
防衛・警察分野に偏る特定秘密の実態
今回の内訳を見ても、防衛省と警察庁、内閣官房といった治安・安全保障分野に集中していることが分かる。特に防衛省だけで全体の過半数(26件)を占めており、日本を取り巻く安全保障環境の緊張感が反映されている形だ。
中国や北朝鮮の軍事的挑発、ロシアのウクライナ侵攻など国際情勢が不安定化する中で、日本も高度な機密情報の取り扱いが増加していると見られる。今回の「漏えいなし」という報告は、その対応能力の健全さを示すものとも言えるが、同時に秘密指定が際限なく拡大する懸念も拭いきれない。
特定秘密の運用が厳格に行われることは国家防衛の観点から必要だが、それが「何でもかんでも秘密」となり、政権や官僚機構による情報統制の道具として機能するようでは本末転倒だ。透明性確保と説明責任の強化が不可欠である。
信頼確保には第三者チェックと見える運用を
今回の報告では、政府内のチェックにとどまっており、国会や民間の有識者など第三者による監査やレビューが形式的なものに終わっているとの批判もある。今後、制度の持続的な信頼性を保つには、より開かれた検証体制と、少なくとも概要ベースでの情報開示が不可欠だ。
秘密が必要な場面と、国民への説明責任を果たすべき場面とのバランスを取ることこそが、民主国家における安全保障のあるべき姿だ。政府の「問題なし」の報告に対しても、国民の側から引き続き検証と問い直しを続けていく必要がある。