2025-06-11 コメント投稿する ▼
石破首相、衆参同日選を見送りへ 立憲の不信任案見送りで衆院解散を断念
石破首相、衆参同日選を見送りへ 立憲の不信任案不提出で解散回避
石破茂首相は6月11日、今国会中の衆議院解散を見送る方針を固めた。これにより、かねて取り沙汰されていた「衆参同日選挙」の可能性は消え、夏の参議院選挙は単独で実施される見通しとなった。首相周辺によれば、立憲民主党が内閣不信任決議案の提出を見送る意向を固めたことを受け、石破首相が解散断念を最終判断したという。
政局を巡る緊張が一気に緩んだ形だが、水面下では与野党の駆け引きが激しく展開されていた。首相の「解散カード」の背景には、内閣支持率の回復や、政策実行力への自信があったとされる。
「解散で勝負」の構えから一転 立憲の静かな戦術に封じられる
石破首相はこれまで、野党第一党である立憲民主党が内閣不信任案を提出した場合には、それを「政権選択の機会」と見なし、採決を経ずに衆議院を解散する構えを見せていた。実際、自民党内でも「支持率が持ち直している今なら勝負になる」との声が出ており、衆参同日選の可能性は現実味を帯びていた。
しかし、立憲民主党の野田佳彦代表は、あえて不信任案の提出を見送る方針に転換。これにより、石破首相の「解散の大義」は消滅し、政権側は選挙に踏み切る名目を失った。ある与党幹部は「野田代表は老練な戦術を取った。政権側は動きを封じられた」と語る。
「解散をけん制するための“提出しない”という戦術。逆転の発想だ」
「解散されれば準備不足の野党が不利。それを見越した沈黙戦術」
「石破首相は勝負に出たが、野田代表にかわされた格好」
「結果的に野党の冷静な判断が政局の暴走を止めた」
「でも、本当に選挙を恐れているのはどっちだろう?」
内閣支持率の回復と「解散機運」の背景
石破首相の周辺では、ここにきて内閣支持率が回復基調にあるとの分析が共有されていた。特に、小泉進次郎農相による米価引き下げや農家支援政策が農業関係者から一定の評価を受け、地方を中心に政権への風向きが改善したとされている。
これにより、「今なら衆院選に踏み切っても勝てる」という楽観論が浮上。首相自身も「反転攻勢」の機運を感じていたという。
とはいえ、衆参同日選に踏み切るにはリスクも大きい。特に経済や外交で不安定要素を抱える中で、「勝てるタイミング」と「大義」の両方を揃えるのは容易ではなかった。今回の見送りは、そうした慎重論にも一定の配慮があったとみられる。
今後の焦点は参院選と与党内の足並み
衆院解散が見送られたことで、与党の次なる焦点は7月の参議院選挙に完全に移る。参院選では、与党が単独で過半数を維持できるかが最大の争点となる。もしここで苦戦すれば、次に待ち構えるのは石破政権の求心力の低下である。
さらに、石破首相が狙っていた「衆参ダブル選で政治を刷新する」という演出も不発に終わった形であり、これが今後の政権運営に微妙な影を落とす可能性もある。
一方、野党側は「不信任案の不提出」という静かな戦術で短期的には主導権を握ったが、選挙本番で結果を出さなければ意味がない。特に立憲民主党は、「解散を怖がっただけ」と見なされないための政策提示と組織立て直しが急務だ。
政局の小休止も、本丸はこれから
衆院解散の見送りは、一時的に政局の緊張を緩める効果をもたらしたが、それは“延期”であり“終息”ではない。参院選の結果次第では、再び衆院解散の機運が高まる可能性もある。石破首相にとっては、次の勝負どころまでにどれだけ実績を積み、世論を味方につけられるかが問われる。
一方、解散を回避させた立憲の野田代表の“沈黙戦術”が評価されるかどうかは、選挙結果にかかっている。政局の駆け引きは、いよいよ夏本番を迎える。